中野京子さんのベストセラー「怖い絵」が面白くて、順番に読んでいます。
「怖い絵シリーズ」の3作目にあたる、角川文庫の「怖い絵・死と乙女篇」を読んだので、さっそく感想を!
ちなみに1作目「怖い絵」の感想はこちら
2作目「怖い絵・泣く女篇」の感想はこちら
エゴン・シーレ、絵も人物も苦手な件
怖い絵シリーズの3作目は、文庫化して「怖い絵・死と乙女篇」と改題になっていますが、タイトルにある「死と乙女」は、エゴン・シーレの作品です。
実はこの作品、ウィーンのベルヴェデーレ宮殿上宮絵画館で観賞しました!
エゴン・シーレの作品は存在感はあるのですが、好みという観点からいうと、私はあまり好きではなかったです。
で、この「怖い絵死と乙女篇」を読んで、シーレが「死と乙女」を描いた背景を知ると…
絵だけではなく、シーレ本人にもあまりいい感情を持てなくなった!
まあシーレ自身も自分自身が善人ではないことを自覚していたのか、この「死と乙女」に描かれている死神は、シーレ本人だというのは興味深いですけどね。
同じく善人とは言えないバロック期の画家カラヴァッジョが、ゴリアテの生首を自分の自画像にしたという話と(非常に気持ち悪い生首)、通じるところがあるような気がします。
ボッティチェリのヴィーナスが左半分と右半分で表情が違う!?
本の中で「なるほど!」とか、「マジで!?」などと思ったことをメモしておきます。
ボッティチェリの名作「ヴィーナスの誕生」に描かれるヴィーナスは、左半分は明るいが、右半分は暗い表情をしている…確かに言われてみれば!
聖ヨセフはイエスが生まれた後、聖母マリアとの間に子どもを設けていた…知らなかった…。老人のように聖ヨセフが描かれことが多いのは、その事実から目をそらして、聖母の処女性を演出したいから…うーん、なるほど。
イギリスの「ガヴァネス」=「零落して結婚できなかった、元・上流階級の若い女性」の話は面白かった!ジェーン・エアもそうだったんだ…。
ウィーン美術史美術館の絵が3作登場!
「怖い絵死と乙女篇」は、ウィーン美術史美術館所蔵の絵が、3作品も登場します。
ベラスケス「フェリペ・プロスペロ王子」。
ルーベンス「メドゥーサの首」。
もう1作セガンティーニの「悪しき母たち」という作品も登場します。
怖い絵の1作目にもウィーン美術史美術館所蔵の、コレッジョ「ガニメデスの誘拐」が登場します。
私はウィーンから帰ってきてから「怖い絵シリーズ」を読みましたが、
ウィーンに行く前に読んでおけばよかったな…。
と、思いました。
エゴン・シーレの「死と乙女」もウィーンで観賞できる作品ですので(ベルヴェデーレ宮殿上宮絵画館)、ウィーンに行く予定の方は、「怖い絵シリーズ」を読んでから行くと、より絵画鑑賞が楽しめると思います!