牧から流川への「あいつには気をつけろ」アドバイスが不親切すぎる件

スラムダンクは非常に完成度が高い漫画作品で、90年代のジャンプコミックにありがちな、ツッコミどころや矛盾が少ないです。

そのスラムダンクで、私が謎とまではいかなくても、一番気になるのが、牧が流川に「エースキラー南」についてアドバイスを送る場面です。

名実ともに全国区であることが描かれる牧

スラムダンクの魅力の一つは、主人公チームである湘北のメンバーだけでなく、ライバルチームの登場人物達が多彩で魅力的なところです。

湘北のライバルと言えば、仙道のいる陵南高校という感じですが、ライバルというよりやや上の存在なのが海南大付属。

その海南の絶対的エースなのが、知名度全国区の牧紳一。

甲子園常連校の高校野球チームのキャプテンにもありがちなことですが、牧も、高校生とは思えない風貌で、花道が「OBをつれてきてズルイ！」と勘違いするのもちょっとはわかりますよね。

牧は既に全国大会も経験済みで、その名が全国に知られているだけでなく、逆に牧の方も神奈川以外の（彦一流に）要チェック人物を知っています。

そのことがわかるのが、インターハイで湘北の初戦の相手となる豊玉と絡んだシーンです。

牧のアドバイスが流川を全然助けてない件

海南に向けて湘北がインターハイでの再戦を誓っているシーンに、偶然やってきて、湘北にも海南にも失礼な言葉を浴びせる、時代錯誤的な（いや、スラムダンク連載時はギリギリありかな）豊玉高校。

牧は、チョンマゲの無礼な言葉に対し、「すまん、誰だっけ君？」と、オレ様お前ごとき知らないんだけど的な切り返しをします。

しっかり礼儀正しく謝っているところが、牧の完全勝利ですし、これはたぶん嫌がらせで言っているのではなく、本当に覚えていないんでしょうね。

その後ろからやってきたのが、豊玉のクセモノキャプテン、南。

南に気づいた牧は、流川に対して「あいつには気をつけろ」とアドバイスします。

しかし…このアドバイス、流川には全然助けにならなかったという…。

なぜ牧のアドバイスはあんなに不親切なのか？

さて、神奈川ナンバーワンプレーヤー牧は、なぜこんなにもアドバイザーとしてはダメダメなのか。

理由をいくつか考えてみました。

牧はサッパリした性格なので人のうわさ話が好きじゃない

まず、最初に思いつくのがコレ。

牧みたいな天才かつバスケに懸けてる感じのプレーヤーって、他人や他の世界に興味がないことがあります。

南の肘打ちの後、「ワ…ワザとですよあれ」という、敵・流川のことながらやや感情的になっている清田に対し、アッサリ「証拠はないさ」と答える牧。

信ぴょう性は高いとはいえ、根も葉もない噂について、アレコレ話さないのが牧流。

でも一応親切心から、一言くらいは言っておこうかなと思って流川に言ってみた。

読者から見るとあんなに不親切なアドバイスなのに、まさかの、牧にしてみたら親切のつもりだった…というヤツです。

流川のコミュ力が低すぎる

いずれにせよ、牧が「気をつけろ」と言ったのは、親切心からは間違いないと思います。

しかし、そのアドバイスを受け取ったのは、湘北の不愛想1年生流川。

もしかしたら流川、ライバル校の先輩の忠告にも無反応だったのでは…？という可能性があります。

牧の「気をつけろ」＝「上手なプレイヤーだから気をつけろ」という意味と勘違いして、「うっせー。俺様が負けるはずない」と、流川は牧を無視した、もしくは軽くスルーした…という流れは、まあ想像できますよね。

そいで、せっかく忠告してやったのに、流川が無反応だったので、牧も「これ以上の親切は必要なし」と、言葉を続けなかった…。

単にエースキラーがバレたら物語的につまらないから

あと、身もふたもない理由としては、あの場面で流川がエースキラーの存在を知ってしまうと、その後の話が展開できなくなるから、牧は匂わせただけにとどまったという、大人の事情…。

それだったら、牧が何も匂せない方が自然なんですけどね。

「豊玉戦には何かあるぞ…」と、読者にほのめかす場面がほしかったというヤツでしょうか。

まあ…たぶん…この…理由…でしょうね。

おかげで牧が不親切野郎になってしまった、と。

まとめ

というわけで、スラムダンクで私が一番気になっている場面について、無駄に考えてみました。

今の高校生はコミュ力が高いので、牧と流川みたいな感じにはならず、しっかりと忠告が相手に行き届きそうですよね。