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高校野球で文武両道の否定はタブーなのか?

野球ボールとグローブ 高校野球
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2018年夏の甲子園で、躍動したチームのひとつが下関国際高校。

花巻東、木更津総合といった強豪校や、好投手擁する創志学園を破り、ベスト8まで勝ち進みました。敗退した準々決勝も、日大三と互角の戦いぶりでした。

あのブロックから下関国際が勝ち上がると予想した人はほとんどいなかったのではないでしょうか。正直言って私も、創志・創成館の勝者か木更津総合だろうと思ってました。

その下関国際を率いるのは、40代前半の坂原監督。

昨年も甲子園に出場しましたが、「文武両道」をめぐる発言で注目を浴びました。

え?何が悪いの?

坂原監督が、独特の指導哲学を語った昨年の記事はこちらです→「文武両道あり得ない」下関国際・坂原監督が野球論語る

Yahoo!ニュースに記事があったので、私も昨年読みました。

信念のある面白い監督さんだなー。ズバッとものを言うタイプって、私は好きだし、ひとつのことに打ち込んだ方がいいって考えは共感できるなー!

という感想をもちましたが、ネットではこの記事がバッシングを受けたと聞いて驚きました。

え?何が悪いの?相手校の名前を具体的に出しているのが、若いと言えば若いけど、多くの強豪校の監督が表面的で無難なコメントに終始している時代に、こんなタイプがいていいじゃない?

最初は思い切ったものの言い方が批判されたのかと思いましたが、バッシングされた原因は、どうやら「文武両道」を否定したところにあったようです。

高校野球のファンには、文武両道が好きな人って多いんですよね。

文武両道はもてはやされなければならないこと?

私は、坂原監督の「二兎を追うものは一兎をも得ず」的な考え方には、共感します

もちろん、中には二匹のウサギを上手に追いかけて、二匹ともゲットしてしまう人もいるかもしれませんが、それは誰もができることではありません。

まずは、ウサギは一匹にしぼって追いかける。

そのことに自分のベストを尽くすなら、それは素晴らしいことだと思うのですが…。

文武両道はスーパースターの特権では?

校舎

私は、地方都市の公立進学校と呼ばれる高校の出身です。私の代の野球部は、県大会ベスト8まで進みました。

甲子園まで行っていたらおそらく「文武両道」ともてはやされていたと思いますが、実態はちょっと違いました。

まず野球の方は、たまたま強豪私学から誘いを受けるような好投手がチームにいただけです。

部全体が、勉強にも打ち込みながら、本気で甲子園を目指していたわけではありません。

また、好投手がいたことで、野球部のメンバーは、引退するまでは部活に集中し、最後の夏の大会で敗れてから受験勉強に取り組んでいた人が多かったです。

文武両道というよりは、一匹ずつウサギを追いかけた感じですよね。

同学年の好投手の話ですが、彼は、勉強もできる、運動神経も抜群、性格も実直で努力家、おまけにちょっとイケメン…と、いわゆるスーパースターでした。

彼のような万能人は、もちろん彼自身の努力も大きいのですが、やはり天賦の才に恵まれた人物なんですよね。

人よりも少ない練習時間・勉強時間で、野球も勉強も成果を上げるには、ある程度は持って生まれた才能が必要になります。

文武両道をもてはやす人は、「スポーツも勉強も手を抜かない努力」を賞賛しているのでしょうが、実態は少し違うのではないかと思います。

ひとつの価値観へ傾倒していく危機感

野球場

長年高校野球を観戦していて、最近の高校野球ファンの傾向として気になるのは、ひとつの価値観に対し、ヒステリックに世論が傾いていくことです。

先ほどもちらっと触れましたが、そのため、無難でやや偽善的なコメントに終始する監督が増えましたよね。

常総学院の元監督・木内監督のように、インタビューまで見どころ満載な名物監督が、登場しにくい土壌となってしまっています。

高校野球はいつから、こんな炎上コンテンツになってしまったんだろうな…。

ネット・SNSはまだまだこれから成熟していく文化なのでしょうが、アマチュアスポーツである高校野球において、言葉狩りや個人攻撃がなくなることを願っています。

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