高校野球をモチーフにした小説「夏の祈りは」を読みました。
さっそく感想文を書いてみます!
須賀しのぶさんはどんな作家さん?
「夏の祈りは」は須賀しのぶさんが書いた、高校野球をモチーフにした小説です。
須賀しのぶさんは「また、桜の国で」という本で高校生直木賞を受賞している作家さんです。
「革命前夜」という本も、よく本屋さんで積んであるのを見かけます。
「コンビニ人間」で芥川賞を受賞した村田沙也加さんが、受賞前にこんな感じで本屋さんでよくプッシュされていたので、須賀しのぶさんは出版業界や書店でかなり期待されている作家という感じがします。
須賀しのぶさんは、集英社オレンジ文庫というキャラ文芸(漫画イラストが添えられたライトな雰囲気の本)のレーベルでは、高校野球をモチーフにしたシリーズを出しています。
このシリーズは試し読み冊子で読んだことがありますが、結構面白そうでした。
「夏の祈りは」のかんたんなあらすじ!
「夏の祈りは」は高校野球小説ですが、大きな特徴はひとつの高校の野球部の歴史に光を当てているというところです。
特定の代のチームや選手がメインになっているのではなく、歴史ある野球部の昔からの悲願をテーマに10年ごとのチームを描いています。
描かれる時代は1988年から、1998年、2008年、最後だけ2017年…と、約10年ごとの4つのチームです。
高校野球に詳しい方ならピンとくるかもしれませんが、8で終わる年は記念大会で、それぞれ夏だと70回、80回、90回、100回と節目の大会に当たります。
80回以降の記念大会は、出場校の多い都道府県は2つのブロックに分けられ、甲子園には2校が出場します。
「夏の祈りは」でスポットが当てられているのは埼玉県の北園高校(架空の高校)。
進学校ですが文武両道で、甲子園もある程度本気で目指しているチームという設定です。
埼玉は記念大会では2校が出場できるため、埼玉の高校にとって記念大会は甲子園出場のチャンスが2倍になります。
北園高校も、記念大会に3年生を迎える代は、甲子園を本気で狙えるような名のある選手をスカウトして集めてくる…。
そんなわけで本書に描かれるチームは、甲子園を夢物語でなく本気で目指しているチームとして描かれます。
その中で主将、バッテリー、マネージャーなど、いろいろな立場にいる人々にスポットを当てて物語は描かれます。
私は野球小説では試合にスポットを当てたものが読むのが好きなのですが、「夏の祈りは」はそういうタイプではなかったですね。
試合よりは、チーム作りの方にスポットが当たっている感じです。
「夏の祈りは」を読んだ感想は?
「夏の祈りは」を読んだ感想は…そうですね…あまり好みの物語ではなかったですね。
ただ、私は濃い高校野球ファンなので、本の面白みというよりは私の属性の方に原因があると思います。
というのもワタクシ、この小説でスポットが当てられているような、「文武両道」を掲げている伝統進学校ってのがあまり好みではないんですよね。
それもこれも自分がそういう高校出身で、その雰囲気が好きになれなかったことが大きいですねー。
高校野球ファンにもいろいろなタイプがいるんですが、私は基本的に「負けたら終わりのトーナメント戦における一歩も引けない試合の攻防」が好きで高校野球を見ています。
反面、高校野球についてまわる「伝統」とか「美談」みたいなものは、あんまり好きじゃないんですよね。
ハイ、「熱闘甲子園」のファンではないです。
「夏の祈りは」では、最初に描かれる1988年のチームの主将・香山が2017年のチームの監督になるのですが、2017年のチームが1998年のチームの歴史を、反対側からですが繰り返す描写になっています。
こういう「歴史・伝統は繰り返す」という物語を高校野球で描かれるのが、私のような高校野球ファンによっては好みに合わなかったです。
逆にそういう好みの問題を抜きにして読むと、小説自体はそれなりに面白かったと思います。
ちなみに北園のライバルとなる溝口高校のモデルは甲子園ベスト4の浦和市立でしょうね。うっすらとですが記憶に残っています。
まとめ
「夏の祈りは」を読んだ感想でした。
あまり積極的なレビューにはなりませんでしたが、私のようなコダワリのある高校野球ファンでなければ、面白く読める小説だと思います。