2018年の野球U18代表は、選手のほとんどが甲子園上位進出校から選出されましたが、大会では甲子園での活躍からはほど遠いパフォーマンスとなり、来年の世界大会の出場権を確保するのが精一杯、という結果になりました。
U18代表がほとんど力を出せずに終わったのには、いろいろ原因があるとは思いますが、来年以降のU18の大会に反省点として生かせることはないのか、ひっそりと考えてみました。
U18の大会は興行なのか勝ちに行く試合なのか?
まず、はっきりさせなければならないのは、U18の大会は、日本にとって勝ち負け関係なく興行として成功すればよい大会なのか、それとも勝ちに行く大会なのかということです。
たとえば、今年の選手の選考方法について疑問を投げかけたこの記事は、私は「筋が通っているし、概ね正しい」と、感じます。
しかし、この記事がヤフーニュースに掲載されていた時、この記事を批判するコメントが多かったことに非常に驚きました。
タイトルがキツイので、吉田投手のファンや、多数選ばれている大阪桐蔭のファンが不快に感じたのでしょう。まあ、ちょっとタイトルは煽っている感はありますね。
ですが記事の内容は、むしろ、決勝まで戦って疲労している選手たちを守るような感じなので、この食い違いはもったいないんですけどね…。
いずれにせよ、このような記事が批判される背景には、U18の試合は、勝つことより興行優先だと考える人が多いのでしょう。
「甲子園スターが入らなければ、日本代表だと思えない」というファンが多いのだと思います。
それに対し、この記事は「大会に勝つためにはどういった選出が必要か」という視点から書かれています。
決して「吉田選手や、今回選ばれた甲子園出場組が、日本代表にふさわしくない」といったニュアンスでは書かれてはいないんですよ。
彼ら[夏の甲子園に出場しなかった選手たち]をうまく活用すれば、甲子園大会で疲れの見えた選手を無理に選ぶ必要は決してなかったであろう。
とあるように、どれほど優れた選手でも、甲子園のような大きな大会をベストコンディションで戦うと、同じコンディションをその後も持ち続けることは難しいということです。
ちょっと話がそれました…。元に戻します。
要するに、この記事が反発されたのは、「U18の大会は甲子園の延長のお祭りである」と考えるファンがいるからなんですよね。
U18の大会がお祭りならば、ベストの状態でなくても、実力だけでなく人気もそなえた選手を呼ぶのは当然ということになります。大学日本代表との派手な壮行試合も納得できますね。
その代わりお祭りだと言うならば、選手たちのパフォーマンスが低調で、大会で結果が残せなくても、周囲に批判する権利はありません。
そのあたりのU18の立ち位置を、高野連がしっかり決めるべきでしょうね。
そうでないと、選手たちがかわいそうですよ。甲子園が終わって2週間足らず、疲労も取れないまま、まったく新しいチーム、慣れない木のバットで「結果を出せ」という方が無茶です。
プレイヤー選出は監督やコーチなど現場に一任すべきでは?
ここからは、
いや、やっぱりU18の試合は大事な国際試合だし、興行よりも勝ち負けを優先すべきだ。
という考えを前提に書きます。
「U18は甲子園の延長で、甲子園で活躍した選手を選ぶべき」という考えの方は、どちらが正しいというわけでもなく、議論が平行線になると思いますので、ここで読むのをストップしてくださいませ。
まず今回の選出は、上の記事でもあるように、左打者偏重、ショートばっかりという、ズブの素人の私でも「?」と思うような選手選考でした。
本当に現場の監督やコーチ陣が知恵を出し合って選んだメンバーなのかな?
と、そうそうたる名前が並ぶ首脳陣を見ながら首をひねっていたのですが、やはり、現場ではなく、高野連による選出だったようです。
永田監督の
みなさんで選んだメンバーを預かる立場。こちらから言えることはない
というコメントを見ると、監督・コーチ陣は、決められたメンバーを渡されて、その後を託されたという感じですね。
まさか、選手選抜だけでなく、現場の采配には口は出してないだろうと思いたいですが、U18の試合って今年に限らず、「本当に監督の判断なのだろうか?」と首をひねりたくなる選手起用が多いんですよね…。
これ以上は想像で書いちゃいけないので自粛しますが…。
監督が、選手の選考にまったく意見が言えないわけではないのでしょうが、他の人が決めたメンバーで戦わせるのは、ちょっと気の毒かなと思います。
野球の監督には、自分の思い描く理想のチームというものがあるでしょう。
せっかくU18、日本中からその理想のチームを作るメンバーを集められるわけですから、監督の手腕が最大に発揮できるよう、選手選考は監督やコーチ陣、現場にまかせるべきです。
まずは高校野球界全体でU18の大会への意思統一を
私は夏の甲子園がはじまる前に、「U18は夏の甲子園に出場できなかった選手から選んだ方がよくない?」という主旨の記事を書きました→侍ジャパンU-18の選手選考は甲子園出場組の疲労が大問題
今になってみると、この記事に欠けていたのは、U18の大会を甲子園の延長だと考える人が多いという視点です。
いったいU18の大会は、何を目的に行うのか。
日本の甲子園スターたちが大会を盛り上げることを、日本のみならず他の出場国も望んでいて、それを一番優先すべきであるなら、私の意見は的外れだと思います。
U18の大会は国体のようなお祭りなのか、それとも勝つための大会なのか。
まずはそこを、高野連、マスコミ、ファンを含めて、統一しなければならないと強く感じました。
一番いけないのは、「お祭りだけど勝て!」と、高校生たちを酷使することです。
夏の甲子園から、ほとんど休みなく戦い続けた2018年U18の選手たち、本当にお疲れ様でした。しばらくは故郷で、ゆっくりと休んでください。