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「野球は時間制スポーツではない」を実感した高校野球東京大会2時間20分の壁

高校野球
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2020年の夏の甲子園大会は中止となり、各都道府県で2020年度の高校野球シーンを締めくくる独自の地方大会が行われました。

3年生だけの編成にするチーム、例年通りの戦い方をするチーム…さまざまですが、動画で見た独自大会にはいつもの夏と変わらない熱さがあり、何だかホッとするような気持ちになりました。

ぽこ
ぽこ

甲子園がなくなっても野球への情熱がなくなるわけではないんですよね。

逆境の中、精一杯前向きにプレーしている選手たちを見て、つくづく高校野球の魅力を思い知らされます。

それだけに2020年は天候に恵まれなかったことで、大会を途中で打ち切る地域があったのは残念です。

「このような状況での大会運営は大変」ということはあるのでしょうが、プロ野球など各方面からの支援もあったことだし、何とかやり遂げる方法はなかったかなあ…。

こちらの記事にも書きましたが、こういった状況で私がとても好感を持ったのは、東京高野連の姿勢です。

東京高野連は雨で何試合も流れてもしっかりスケジュールを組み直し、選手たちの気持ちに最大限寄り添っていたように感じます。

そんな東京高野連がひとつだけ失敗したのかな…と感じたのが、2時間20分ルールです。

ぽこ
ぽこ

東京高野連を批判する気持ちはまったくないです!野球というスポーツについて考える機会として、この記事を書くことにしました。

2020年東京大会独自の2時間20分ルールとは?

2020年の高校野球東京独自大会は、新型感染症の流行の中で、従来とは違うルールがいくつか適応されました。

その中で、試合に関する規定として一番大きかったのは2時間20分ルールです。

試合時間が2時間20分を超えたら新しいイニングに入らずその時点のスコアで試合終了。同点の場合は次の回からタイブレーク」というルールです。

具体例を2つ書くと…

例1

8回途中にA校が1点リードで試合時間が2時間20分に到達。8回裏終了時点でA校がこの1点のリードを守り切っていれば、9回には入らず8回裏で試合終了。A校の勝利。

例2

6回途中に試合が2時間20分を超えたがスコアは同点。この場合は7回からタイブレークとなり、決着がつくまで試合は行われる。

緊急事態宣言もあった中で、じゅうぶんに練習できていない選手たちの体力を考慮し、試合が長引くのを避けるという配慮から設けられたルールです。

2時間20分ルールの落とし穴は「裏の攻撃」

野球のスコアボード

最初にこの2時間20分ルールを見た時は、「特別大会だから仕方ない、7イニング制よりはずっといいだろう」と思っていました。

しかし実際に試合を行うと、このルールにはちょっと落とし穴があったんです。

それは…後攻の高校がリードした段階で2時間20分を超えた時、裏の攻撃が大変に空しいイニングになってしまうということ。

西東京大会で優勝した東海大菅生は、準決勝は創価相手に12-5というコールドで勝ち進み、スコアだけ見ると東海大菅生は圧勝で決勝に進んだように見えるかもしれません。

しかし実際は非常に苦しい試合で、8回裏に大量得点が入ってサヨナラコールドとなったのです。

創価が先攻、菅生が後攻で、7回を終わった時点でスコアは取ったり取られたりの7-5で菅生がリードしていました。

ですが7回終了時で、既に試合時間は2時間をかなり超えていました。

2時間20分以内に8回の表裏が終わる可能性は低く、実質的に8回表が創価の最後の攻撃となったのです。

そして、菅生は創価の8回表の攻撃を0点に抑えました。

菅生に2点のリードを許した状況で、創価に残された攻撃のイニングは時間切れでなくなり、8回表が終わった時点で実質的に菅生の勝利が決まりました。

しかし、このルールでは菅生の8回裏の攻撃が続行されます。

菅生の勝利が確定した状況で8回裏の攻撃は行われ…それが原因かどうかはわかりませんが、創価の守備陣にやや集中力を欠いたプレーが出て一挙5点が入り、2時間20分ルールを適用するまでもなくサヨナラコールドとなりました。

時間制限を設けるならこっちの方が良かったかも

この準決勝は両校同じイニングを戦った上で勝敗が決まっているので、東海大菅生の勝利は妥当です。

問題は「8回裏を行う必要はなかったのではないか」ということです。

野球では、9回表が終わった段階で後攻のチームが勝っていれば9回裏は行われません。

ぽこ
ぽこ

スコアボードの右下に×がつくのはおなじみですね。ちなみに智弁和歌山の高嶋前監督は甲子園で1イニングでも多く攻撃したいから、常に先攻を取るという野球哲学を持っていました。

では、東京大会の時間制限ルールはどういうものであればよかったのか。

試合時間が2時間15分を超えたら次のイニングで試合終了

こっちの方がよかったんじゃないかな。

そうすれば、たとえば7回途中に表でも裏でも2時間15分を超えた時点で、次の8回が最終イニング。これは7回終了時に両校に通達。

こういうルールにすれば、裏のチームがリードしている状況で表のチームの攻撃が終わったら、9回制と同じように裏の攻撃を行わずに試合終了できますね。

私も最初に2時間20分ルールを見た時はこんなことは思いつかなかったので、後出しになる意見ですが、今後、また通常のルールを変更して大会を開催しなければならないことがあれば、こっちのルールの方がいいんじゃないかなと思います。

まとめ

大変に面白かった2020年の高校野球東京独自大会ですが、「野球の魅力の一つは時間制スポーツでないこと」ということに改めて気づかされました。

時間制スポーツは、残り時間と点差を考えると、実質的に試合が終わってしまっているという場面がありますが、野球は最後のアウトを取るまでは、何点差でも逆転することが不可能ではありません。

時間制スポーツでない野球に時間制限を設けるのは大変難しいのだということが、今回の東京大会の特殊ルールに気づかされました。

ぽこ
ぽこ

野球は奥が深いなあ…。

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