高嶋先生祭!
私の心に残っている試合ベスト5を、ランキング形式でご紹介しています。
5~3位はこちら
2位はこちら
宇和島東戦が2位なら、1位はあの試合だろう…と、予想できちゃいますよね(笑)。
そう、「あの試合」です。
2000年夏準々決勝、智弁和歌山7x-6柳川!
2000年の智弁和歌山と柳川、春のセンバツの因縁
2000年の智弁和歌山は、夏に全国制覇を果たしていますが、春も準優勝を成し遂げています。
春は4勝、夏は6勝していますが、春も夏も準々決勝で当たったのが、柳川高校です。
この年の柳川には、後にプロへ行く香月投手がいました。
春の智弁和歌山戦の香月は、貫禄あふれるピッチングでした。
柳川戦以外の試合では、全て二桁安打を放っている智弁和歌山打線を、5安打と抑え込み、失点は3番武内のタイムリーによる1点のみでした。
本来なら、打撃のチームをここまで押さえたら勝利も同然なのですが、何とこの試合で、智弁和歌山の左腕・白野が突然の覚醒。
柳川打線の方がまさかの0点に抑えられて、智弁和歌山が1-0と勝利したのです。
この試合結果を予想できた人はほとんどいなかったと思います。あの攻撃一辺倒の2000年智弁和歌山が1-0で勝つ試合なんて…。
夏の再戦、試合は柳川優位に進む
香月は、智弁和歌山、特に3番の武内にはリベンジしたいという気持ちが強かったようです。
そして迎えた準々決勝第四試合。
この日は、白熱した展開の試合が多く、第四試合は試合開始が遅れて、ナイターとなりました。
ちなみに私、この試合は甲子園のバックネット裏で観戦しました。
智弁和歌山は、春から投手力と守備力はほとんどアップせず、その代わり、看板の打線がさらにスケールアップしていました。
対する柳川は、香月投手がいるだけでなく、攻守のレベルも高く、バランスのよいチーム。
智弁和歌山の先発・中家は柳川打線を抑えきれず、6失点を喫します。
香月投手の方は、春ほどの完璧な投球とまでは行きませんが、それでも打撃有利の夏に、7回まで智弁和歌山を2失点に抑える好投。
この年の智弁和歌山は、8回に点を取ることが多いチームでしたが、4点差で迎えた8回も、先頭打者の堤野をまず打ち取りました。
智弁応援だった私は、ここでキャプテンの堤野が打ち取られたことで、「あ…負けたかもしれないな…」と覚悟しました。
智弁和歌山の大反撃は8回1死から
8回裏1死走者なしで打席に入ったのは、香月が強く意識していた3番の武内。
「香月Vs武内の最終ラウンドか…(実際は違った)」と思いながら見ていると、武内のフルスイングは、糸を引くような弾道で、ライトスタンドに飛び込みました。
甲子園が底から沸くようなスサマジイ当たりでしたが、それでも
香月に一矢むくいることができてよかったな。
と思っただけで、まさかここから、あの展開が起きるとは思いもしませんでした。
3点差となって、続く4番の池辺は死球。でも、この死球は、香月が動揺したとか意気消沈したとか、そんな感じではなかったので、まだこの段階では、球場はざわついていませんでした。
1死1塁で、次の5番後藤が、センター前にはじき返します。
この後藤のヒット、もっと評価されていい!ていうか、2000年の後藤はもっと評価されていい!なぜか武内・池辺・山野にくらべて地味なんですよね(笑)。
これでランナーが2人出て、この大会で既に2HRを打っている6番山野が打席へ。
この時甲子園の観客は、「ホームランが出たら…3点差だから…同点だよな」と思った人から順に、少しずつざわつき始めました。
そして山野は、香月のすっぽ抜けた完全なボール球をフルスイング…!
月が浮かぶ夜空に打ち上げた打球は、完璧な当たりではなかったのですが、甲子園の魔物に後押しされたかのように、レフトスタンドへと飛び込みました。
追いつかれてからの香月のピッチングには感動
この試合で感動的だったのは、智弁和歌山の執念ある粘りだけではありません。
8回に2本のホームランで、一気に試合がふりだしに戻ってしまうという魔法のような展開に、甲子園のお客さんは狂喜し、球場の雰囲気はかなりエキサイトしていました。
こうなると、追いついたチームの方が有利になるのですが、香月は非常に落ち着いていて、淡々と投げ続けました。
後から記事で読むと、9回以降は手のマメがつぶれるアクシデントに見舞われていたそうで、確かに球威は落ちていましたが、マウンドさばきは堂々としたものでした。
最後は延長12回裏、もっと評価されていい後藤のサヨナラヒットで決着しましたが、両者に拍手を贈りたい、素晴らしい試合でした。
智弁和歌山の試合は相手もあっぱれな試合が多い!
というわけで、私の智弁和歌山ベストゲームを振り返ってみました。
智弁和歌山の試合は、2006年の帝京戦、1999年の岡山理大付戦、1994年の宇和島東戦、そして2000年の柳川戦…と、相手チームにも賛辞を送りたくなる名試合が多いのが特徴だと思います。
智弁和歌山はよいライバルに恵まれて、よい時代を駆け抜けた、そんな感じがしますね。
智弁和歌山はかつてのPL学園や、現在の大阪桐蔭のように、ずば抜けて完璧な強さを持つチームカラーではありませんが、そのおかげで、同等か、自分よりも強そうなチームと、好試合を繰り広げるのが魅力だと思います。
ずっとベンチで仁王立ちして、こんなに多くの名勝負を見せてくれた高嶋監督に、感謝の気持ちでいっぱいです。