私は世界史に多大な興味があるのですが…残念ながら苦手です!
特に難しいのがヨーロッパ史。
何度学習しても、教皇や皇帝の名前とか勢力関係図とかが…全然頭の中に残ってくれないっ!
昨日の敵は今日の友…みたいに展開が複雑ですし、登場人物や登場する国が多すぎるんですよね…。
そこで…「ヨーロッパ史が頭に入らない症候群」を何とかする薬として、ヨーロッパ史を描いた歴史漫画を読んでみることにしました。
手に取ったのは、惣領冬実さんが描く「チェーザレ~破壊の創造者~」です。
読んだ感想を、ネタバレはない形でまとめてみます!
「チェーザレ~破壊の創造者~」はどんな漫画?
「チェーザレ~破壊の創造者~」は、ルネサンス期のイタリアで活躍したチェーザレ・ボルジアを主人公にした歴史漫画です。
漫画で描かれている舞台は、チェーザレが生きた15世紀末から16世紀にかけてのヨーロッパです。
そのため、この漫画を読んだからと言って、古代史から現代史までのヨーロッパ史をすべて理解する助けになるわけではありません。
それでも世界史を理解するために、「まずは特定の時代から入るのもアリじゃないかな?」と思い、読んでみることにしました!
実際に読んでみると…非常に骨太の漫画です。
イケメンがたくさん出てくるのですが、イケメンたちのキラキラぶりを強調して描くのではなく、史実からなるべく外れない描き方になっています。
チェーザレが生きた時代のヨーロッパは、皇帝と教皇が覇権を争っていますが、チェーザレの時代とは直接関係ない「カノッサの屈辱」についても、ページ数を割いて丁寧に描いています。
「カノッサの屈辱」は高校世界史で習ったな~。
コミックの最後には、チェーザレの物語を理解するための世界史のキーワードがガッツリ解説されていて、世界史学習のための漫画として使える!という感じです。
漫画の内容は世界史苦手でも楽しめる?
さて、「チェーザレ~破壊の創造者~」を読んだ感想ですが、物語は文句なく面白いです!
この面白さでなるべく史実通りに描いているというわけなので、物語の構成力とか画力とかが素晴らしく、レベルの高い漫画に仕上がっているのだと思います。
ただし登場人物が多く、また、歴史に忠実に描くことで物語を単純化していないため、物語が少しだけ難しいというのはどうしてもあります。
「この人誰だったっけ?」とか、「アレ、この人敵じゃなかった?」とか、そういう部分が出てきて、前のページに戻ることがあります。
ただ、エレガンス系のイケメンがたくさん登場するので、そういうタイプのイケメン好きであれば、物語の難解さはそれほど気にならずに楽しめるかもしれません!
チェーザレとミゲルが人気あるんだろうなあ。私はロベルトが好みだけど。
チェーザレってどんな人?
主人公のチェーザレ・ボルジアですが、私の勉強不足のせいなのか、高校世界史で習った記憶はいっさいございません。
ですが、私はチェーザレ・ボルジアの名前は何となく知っていました。
なぜかというと…マキアヴェッリの「君主論」を読んだことがあるんですよね。
いろいろな出版社から出ていますが、中公文庫版で読みました。
この「君主論」で、マキアヴェッリがよく名前を出すのがチェーザレ・ボルジアです。
現実的で性悪説な内容がつづられる「君主論」ですが、チェーザレ・ボルジアは概ね好意的に書かれている記憶があります。
確かチェーザレ・ボルジアは聖人君子のような存在ではなく、状況に応じて必要悪を選べるタイプとして出てきたような。
「チェーザレ~破壊の創造者~」では、チェーザレはめっちゃイケメンで才能あふれる人物ですが、心優しい聖人としては描かれません。
チェーザレがあまりにも礼賛されている漫画だったら私は途中で読みやめていると思いますが、それなりに欠点のある人物として描かれているのが作品の魅力です。
「チェーザレ~破壊の創造者~」にはマキアヴェッリが登場しますので、「君主論」を読んでおけば、漫画がさらに楽しめるのではないかと思います。
まとめ
「チェーザレ~破壊の創造者~」を読んでみた感想でした!
とにかくアカデミックな内容に仕上がっていますが、イケメンたちがたくさん出てくるおかげで、世界史苦手な私でも楽しく読めました!
しょうがない私め…。
この漫画を読んでヨーロッパ史が劇的にわかるようになるということはありませんが、ヨーロッパ史、特に15世紀前後のルネサンス時代を学ぶきっかけになりそうな漫画です。
物語自体は深くてよく練られていて本当に面白いので、歴史漫画が好きな方には特におすすめです!
長編マンガなので、電子書籍で読むのもおすすめです!