私は春と夏にはこのブログを高校野球ブログにしてしまう「高校野球オタク」です。
そんなわけで、高校野球をテーマに扱った漫画を結構読んでいます。
周囲の漫画好きが「高校野球オタクの意見を聞きたい」と言って、高校野球漫画を貸してくれることも時々ありますね。
今まで読んだことがある高校野球漫画を一気に紹介してみます!
現在連載中の高校野球漫画
まずは、2021年現在で連載中の高校野球漫画をご紹介していきます!
最近の高校野球漫画は、高校野球漫画の王道「天才投手が無名校を強くしていく」という設定から、ちょっと外れた「変化球」タイプが多いです。
おおきく振りかぶって
まずは「変化球」タイプである『おおきく振りかぶって』をご紹介します。
主人公・三橋(みはし)が投手というのは王道ですが、三橋の球速はおそらく120㎞前後で、性格も投手とは思えないほど自己卑下的です。
高校野球オタクの私は、球速120㎞そこそこで春センバツ準優勝した、水戸商の三橋(みつはし)投手を思い出しますけどね…。
高校野球オタクから見るMAX130㎞以下の右腕投手と言われると、「地方大会序盤で敗退するチームのエースかな…」という感じです。
ですが三橋の所属する西浦高校は、1年生だけの部員で埼玉大会ベスト16まで進出しちゃうんですよね。
え?あんまりリアリティのない夢物語の高校野球漫画?
…と思ってしまいますが、『おおきく振りかぶって』を読むと、それほど不自然な夢物語には見えません。
というのも三橋は、球速はないですがコントロールが抜群で変化球も多彩です。
その軟投・技巧派の三橋を、超理論派の捕手・阿部がスペックをフルに活かした配球で緻密にリードする様子が細かく描かれるため、三橋が強打者を打ち取っても、読者は納得して読めるんですよね。
登場人物の心理描写が敵チームの脇役にいたるまで丁寧に描かれること、非現実なほど奇抜なキャラがいないこと…こういったリアリティは娯楽漫画の域を超えています。
はじめは「読んでみて!」と貸してもらって読んだのですが、面白すぎて途中からは自分で買い始めちゃいました。
今すぐ読みはじめたい方は、電子書籍で読むのがおすすめ!
ダイヤのA
高校野球漫画の王道っぽい雰囲気が漂うのが、『ダイヤのA』です。
主人公の沢村栄純…伝説の投手「沢村栄二」から取った名前だと思いますが、中学時代は無名でありながら、見る人が見たら光るものがわかる熱血サウスポーです。
主人公の設定は野球漫画の王道なのですが、野球漫画として変わっているのは、舞台が東京の強豪校だということ。
高校野球漫画では、甲子園出場が悲願である甲子園未経験の高校が舞台になることが多いのですが、『ダイヤのA』の舞台、青道高校は甲子園の常連校。
ストーリーでは甲子園を懸けた戦いだけでなく、チーム内でのレギュラー争いも描かれます。
『ダイヤのA』は、よく漫画好きのプロ野球選手に、「高校野球のリアルを描いている」と言われます。
高校野球漫画にありがちな「無名選手が無名校で甲子園を目指し成功するストーリー」より、「強豪校でチームメイトとも争いながら甲子園に到達するストーリー」の方が、ずっとリアルなのでしょう。
高校野球ファン的には、実在の高校野球チームが明らかにモデルとなっている高校がよく登場するのが楽しめます。
また、作者さんの画力が高いのも魅力ですね。
主人公・沢村が2年生になるところからはActⅡとなります。
『ダイヤのA』も巻数が多いので、一気読みにはお得な電子書籍がおすすめ。
忘却バッテリー
『忘却バッテリー』は、イケメンだらけの高校野球漫画で、設定がちょっと異色です。
「タイトルの『忘却バッテリー』って、どういうこと?」と思っちゃいますよね。
中学シニアに天才バッテリーがいましたが、キャッチャーの要が野球の技術も含めて記憶をなくしてしまいます。
高校野球×記憶喪失って…斬新!
要は記憶をなくしたため野球強豪校に進学しないのですが、天才バッテリーの片割れ清峰投手は、捕手が要じゃなきゃイヤだと、要についていってしまいます。
高校野球オタクから見ると、「清峰」で思い出すのは好投手を擁して甲子園で快進撃を見せた長崎の清峰高校ですけどね!名前はココから取ったのかな?
で、天才バッテリーが進学した先には、中学時代に天才バッテリーに格の違いを見せつけられたショックで、野球をやめてしまった有望選手が3名も…。
ちょっとできすぎた設定ではありますが、ギャグとシリアスのバランスがよく、読みやすいです。
イケメン選手が多いので、イケメン好きには特におすすめですね!
バトルスタディーズ
『バトルスタディーズ』はPL学園野球部出身の漫画家・なきぼくろさんが描いた漫画です。
作中で登場するのは「DL学園」ですが、校歌からしてどう見てもPLです。
ご自身のPL学園野球部の経験から、PL野球部の寮生活などのリアルを、「ここまで描いていいの!?」と心配になるほどあけすけに描いています。
PL学園野球部は一昔前の強豪で、現在の高校野球界のトップ校は、PL学園野球部のような理不尽な体育会系ルールにしばられていることはほとんどないでしょう。
そのため現在の高校野球のリアルとしては読めないかもしれませんが、「PLってこうだったんだ…」と、高校野球ファンにいろいろな衝撃を与えてくれます。
男子高校生独特のノリがすさまじく、どちらかというと男性読者が多い作品ではないかと思います。
完結している高校野球漫画
ここからはすでに完結している高校野球漫画をご紹介します。
ちょっと古い作品もあります!
タッチ
高校野球漫画の金字塔といえば…やっぱり『タッチ』ですよね!全26巻です。
上杉兄弟の微妙なライバル心とお互いへの愛情・リスペクト、永遠のマドンナ浅倉南、ライバルの新田君や西村君との戦い…。
たまに読み返すと、何度目でもやっぱり面白く感じる、高校野球だけでなく漫画界の宝のような作品です。
高校で野球をはじめたタッちゃんが全国制覇してしまうなど、今の高校野球界から見ると夢物語に感じますが、タッチ連載当時は漫画にそこまでのリアリティは求められてなかったのでしょうね。
タッチには数々の名ゼリフがありますが、いちばん好きなのは勢南のマネージャーさんのこのセリフですね。
勇ちゃんも新田さんに敬遠できてたら、一度くらいは甲子園に行けたのにね。
これ、何気ないセリフなんですがジーンとくるんですよね…。
すでに高校野球が終了し甲子園出場を3年間一度も果たせなかった西村君に、幼馴染のマネージャーさんがかける言葉です。
西村VS新田は一度もしっかりとは作中で描かれませんが、西村君が新田君に真っ向勝負をし続けたことが示唆されています。
今は高校野球でも申告敬遠が採用されてしまい、こういう高校野球の情緒は失われて行ってしまうんだろうなあ…。
H2
高校野球漫画の大御所・あだち充の作品で、「高校野球そのもの」を楽しめるのが『H2』です。「エイチツー」と読みます。全34巻。
『H2』は『タッチ』とくらべて、恋愛要素より野球要素が多い作品です。
『タッチ』では上杉兄弟が属する明青野球部で、しっかりとキャラ作りがなされているのは、捕手の松平と、一学年上の黒木くらいです。
それに対し、『H2』主人公の国見比呂が属する千川野球部は、捕手の野田、内野手の柳・佐川、外野手の木根など、キャラも選手としての個性も豊かです。
私は佐川君のファンです!
あだち充さん独特のリズムの良さがあり、巻数が多いですが、サーっと読み進められて一気読みちしゃう作品です。
高校球児ザワさん
『高校球児ザワさん』は、高校野球の試合が一切描かれない、異色の高校野球漫画です。全12巻。
主人公は何と女子野球部員のザワさん。女子野球部ではなく、男子と同じ硬式野球部に属しています。
その野球部は東京の強豪校で、ザワさんの兄が絶対的エースとして部に所属しています。
ザワさんと同級生の野球部たちの何気ない会話など、強豪校の高校野球児の素朴な日常が短いエピソードでつづられます。
試合は一切描かれず、物語も短い読み切りで続き物ではありませんが、登場人物たちがどんな選手でどんなキャラなのか、読み進めるうちに少しずつ見えてきます。
読者を選ぶタイプの漫画ですが、その場の空気の描き方や間の取り方が上手です。
ザワさんカワイイんだけど、自分のことを名前呼びなのが残念なんだよな~。
逆境ナイン
『逆境ナイン』は、非常に強烈な高校野球ギャグ漫画です。当初の版で全6巻。
私が『逆境ナイン』を知ったのは、漫画好きのクラスメイトから
高校野球好きに聞きたいんだけど「透明ランナー」って何?この漫画に出てくるんだよね。
と聞かれて、「!?」となって読んでみたのがキッカケです。
もちろん「透明ランナー」なんて高校野球のルールにはありません!
もうこの漫画、メチャクチャなんです!それを真顔でやるため、野球を知らない読者はギャグだと気づかないという…。
いやー、私は『逆境ナイン』の真顔でのギャグ大好きですね!人生でこんなに笑った漫画はありません。
しかも主人公・不屈闘志の「ハーハッハ(←不敵な笑い)!これが逆境だ!!」というセリフは、落ち込んでいる時に思い出すと力が湧いてくるという…。
すごいくだらないんですけど、人生の支えにもなっちゃうという、ホント何かスゴイ漫画です。
ジャストミート
『ジャストミート』は、ギャグ要素とシリアス要素が入り混じった高校野球漫画です。全19巻。
小学生だったころに、クラスの野球少年から「高校野球漫画だったらタッチよりこっちの方が面白いよ」と貸してもらったのが『ジャストミート』。
フォークしか投げない橘投手と、バントヒットしかしない4番坂本を中心としたギャグ要素が強い漫画です。
選手たちは皆、自分が目立つことを第一に野球をやっていて、「チームのため」とか言わないところが逆に爽快感があります。
全体としてはギャグが多いですが、試合の「ココ!」という時にはシリアスな場面も描かれて、メリハリがあります。
主人公格の2人以外のナインも個性的で好感が持てるキャラが多く、読後感のよい野球漫画です。
まとめ
高校野球は「筋書きのないドラマ」と言われるように、実物が断然面白いです。
ですが漫画では、現実の高校野球ではありえない設定を、フィクションとして楽しむことができます。
また、選手の気持ちを深く描いてくれる作品が多いのも、高校野球漫画の魅力ですね。
高校野球漫画は巻数の多い漫画が多く、電子書籍で読むという選択肢もアリです。