今回のギリシャ旅行は、古代遺跡巡りがメインです。
そのため
何か古代ギリシャの本を読んでみよう!
と思い、タイトルがシンプルな「古代ギリシアの歴史」を読んでみました!
さっそく感想を書いてみます!
講談社学術文庫から出ているから内容が難しい?
今回手に取った「古代ギリシアの歴史」は、講談社学術文庫という、いかにも難しそうなレーベルから出版されています。
普通の講談社文庫とは置いてある場所が違い、
む・難しそう…。読めるかな…?
と、心配でしたが、古代ギリシア史を扱った本の中では比較的刊行が新しかったので(とはいっても2004年)、「とりあえず読んでみよう!」とチャレンジしてみました。
読んでみた感想としては「文体は硬い。でも、実は内容はわかりやすい」と感じました。
ポリスは、歴史上はじめて政治なるものが合理的思惟の対象とされ、またわれわれの眼からしても、今日に通じる政治力学的解釈を説明の具として適用しうる世界である。
…こんな感じの文章もあるので、文章自体はとっつきにくいかもしれませんが、内容は思った以上にわかりやすいです。
内容がわかりやすいのは、筆者さんが歴史の「なぜ」をていねいに解説してくれているおかげでしょう。
歴史本がわかりやすいかどうかは、歴史の事実の羅列だけではなく、「なぜそうなったのか」を解説しているかどうかにあると思っています。
私が高校の時に使っていた世界史教科書は、それがなかったからわかりにくかったんだよ(自分の勉強不足もあるけどさ)…。
エヴァンズって古代ギリシア史の悪者?
さて、古代ギリシアの中でもさらに古い時代の発見者について、高校の世界史ではシュリーマンとエヴァンズを習います。
子どものころに本で読んだホメロスの詩は、ただの物語ではなくてきっと歴史的事実だ!いつかそのことを証明してみせるぞ!
…と、自らの夢を追いかけて、トロイ遺跡とミケーネ遺跡を発見したシュリーマンの生きざまはカッコよすぎます。
それに対し、クレタ遺跡を発見したエヴァンズは、それほど人気はないですね。
その不人気の理由は、クレタの遺跡を過剰に(しかも確証なく)復元したせいで、現在のクレタ遺跡の一部は偽物っぽくなってしまった…ことが大きいのかなと思っていました。
でもまあ、時代が違うし、エヴァンズも悪気でやったわけではないんじゃないかな…。
と考えていましたが、この本を読むと、エヴァンズさんの「やらかし」はこれだけではないようです。
筆者によると
エヴァンズは、絵文字とクノッソス出土の線文字のうち、Aについてはテキストをほぼ公にしていたが、多数のB文書については、そのうちのごく一部しか発表しなかった。
発掘した資料を公開しないというのは、「学者としての彼のルール違反」だと筆者は書いています。
なぜ公開しなかったのかは本書にはっきりとは書かれていませんが、どうもエヴァンズは自分が発見した「クレタ文明こそがエーゲ文明の中心」と主張していて、文書を公開すると自説に都合の悪いことが出てくるかも…と考えたのではないか…。
ここらへんは推測の域を出ませんが、人間が学問に対して中立の立場から向き合うことは、やはり難しいことなんだろうな…と感じました。
昨今の、科学の論文捏造とかと通じるものを感じます。
興味深かった部分をメモ!
本の中で興味深かったことを、メモしておきます。
まとめ
講談社学術文庫「古代ギリシアの歴史」を読んだ感想でした。
一度読んだだけで全てが頭に入ったわけではないですが、高校時代にただ丸暗記していた歴史用語が、著者さんのていねいな解説のおかげでいろいろつながったように感じました。
できればギリシアに行く前にもう1回読んで、理解をさらに深めたいです!