2022年の夏の甲子園。ザックリとした感想を書きます。超ザックリです!
初の白河の関越え!今まで足りなかったのは運だった!?
まずは仙台育英、初の東北勢の優勝おめでとう!
仙台育英は、三度目の夏の甲子園決勝進出。三度目の正直で優勝をつかみとりました。
私は仙台育英が最初に決勝進出した1989年大越投手の年から甲子園を見始めていて、選手宣誓も担った1989年のチームはよく覚えています。
2015年の二度目の決勝進出も、決勝の相手が応援していた東海大相模だったので、佐藤世那投手や郡司、平沢といったプロに進む選手を擁したチーム力が印象深いです。
今年のチームは1989年や2015年のチームにくらべて、大会の優勝候補ではなく、二番手以降かダークホースという位置づけでした。
一番の勝因は、ベンチにいる5人の投手陣を上手に使いこなしたことだと思います。
他チームはベンチ入り投手は4~5人いても、結局2~3人しか使わないことが多かったですからね。
それと、そもそも投手陣が豊富なことに加えて、2回戦からの登場で全員が余力があったことや、対戦相手のめぐり合わせが仙台育英にとって追い風となる展開でした。
3回戦の明秀日立は相手が自滅した感がありましたし、準々決勝の愛工大名電、準決勝の聖光学院は力のあるチームなのですが、絶対的エースの限界が近いタイミングでの対戦となりました。
今まで東北勢がどうしても優勝できなかった悲運の歴史を考えると、今年はうまい具合に仙台育英に風が吹いた…こういうことが監督さんが掲げる「日本一からの招待状」ということなんですかね。
トーナメントにおいては、こういう運やめぐり合わせも実力のうち。仙台育英がそれに値するチームだったのでしょう。
下関国際を語らずに今大会は語れず
準優勝は下関国際。
春の絶対的優勝校・大阪桐蔭、絶対的スター山田を擁する近江を倒しての準優勝です。
今年の大会は始まる前から「どうせ大阪桐蔭の優勝だろう…あんなスキのない大型チームを誰が倒せるのか」という雰囲気が漂っていました。
ヒイキのチームが上まで行けるかどうかは、クジで大阪桐蔭を避けられるかどうかにかかっている…大阪桐蔭を避けているうちに誰か(特に山田投手!)大阪桐蔭を倒して!…だなんて、私も思っていました。
大阪桐蔭を倒す一番手と思われた智弁和歌山が敗退し、大阪桐蔭が苦手と言われる左の好投手を擁するチームも次々に姿を消し、山田投手とも疲れが蓄積しない準々決勝までには当たらず、「もうこれで大阪桐蔭で決まり」という空気が漂っていた時に、あの衝撃の準々決勝でしたね。
実は私は心の奥底では、2018年に前評判を覆して強豪校を相次いで倒した下関国際に、期待するものはありました。
ですが、それは「勝つだろう」ではなく、「大阪桐蔭を若干は苦しめるだろう」くらいで、「大阪桐蔭を少しでも消耗させて、次に桐蔭と当たるかもしれない山田投手のアシストにはなるかな?」程度の期待でした。
しかも、大阪桐蔭が初回に長打で2得点あげた時は、「もーダメだ!終わった!」と思ったくらいです。
本当、すみませんでした!私の半分も生きていない下関国際の選手たち、どうしてあんなに精神力が強いんでしょうね!?
何がスゴイって、大阪桐蔭戦は観客の後押しもあって逆転勝ちした下関国際ですが、次の近江戦は一転、山田君大好きの観客の近江応援の圧が、下関国際ナインに覆いかぶさってきました。
しかし、あれだけのアウェーで、下関国際の選手たちは揺るがない。
むしろ近江の方が浮き足立つ形となり、精神力の差で勝ちぬいた準決勝となりました(近江が弱いのではなく下関国際が強すぎる)。
監督さんのチーム作りの賜物なのでしょうが、下関国際の硬派な精神力は本当にカッコよかった!
大阪桐蔭と近江を倒したけど熱戦続きで消耗し、余力じゅうぶんな相手との決勝で力尽きたのはちょっと気の毒でした。
ですがここで何もかも手に入れなかったことで、さらなる坂原野球の発展につながる…と前向きに捉えたいと思います!
下関国際が大阪桐蔭を倒した試合については、別の記事でも書きました。
ベンチに入れた投手を使う勇気を!
私は複数投手制を過度に賞賛する立場ではないですし、投手の球数制限を現在のようにルール化することは反対です。
ですが球数制限のルールがある以上、複数投手で戦わないと、優勝するのは難しくなっています。
聖光学院が準決勝で大敗したのは、単純なチーム力の差ではなく、球数制限によるリミットを考慮した、大会を通じての投手起用に失敗したのが原因かなと思います。
もし聖光学院が日本一を目指していないのであれば、あのように目の前の試合を一戦ずつ勝ち、先のことは後から考えるという戦い方で問題ありません。
ですが優勝を目指すのであれば、準々決勝では思い切ってエース以外の投手を登板させるべきでしたね。
これは聖光学院だけの話ではなく、準決勝まで進んだ近江も二人しか投手は投げませんでしたが、投手登録の選手は少なくともあと二人はいました。
最近気になっているのは、この「投げずに終わる投手」の存在ですね。
私みたいなシロウトの部外者は、「使わないんだったらベンチに入れる意味ないじゃない!」なんて思ってしまうわけですが、まあ、投手起用というのは難しいのでしょう。
とはいえ、明豊の川崎監督や国学院栃木の柄目監督などは、「使う勇気」があるなあ…と思いながら見ていました。
エース級でない投手を「使う勇気」は、うまくいくときもあれば、もちろん裏目に出るときもあります。
しかし「投げずに終わる」くらいだったら、全戦力を使った上で負けた方がスッキリするんじゃないか…。
チームがどこまで目指すのか?日本一なのか?勝てるところまでなのか?…こういったところも関係してきますが、球数制限のルールの中で戦う大会では、この「使う勇気」は前向きに振りしぼった方がいいのではないか、と感じた大会でした。
他にモロモロと!
最後に、印象に残った選手やチームに散発的に触れます。
近江。2年間楽しませてくれてありがとう!山田選手は本当に見ていて楽しかったですし、高松商戦でチームのピンチを救った星野投手のピッチングは心に残ります。
高松商の浅野選手は高校生に見えなかった…。圧倒的存在感。2年生エースの渡辺投手は前評判以上の投手で、これからが楽しみです。追記。渡辺投手3年生だった…。浅野選手と同じ学年に見えなかったから勘違いしていた…浅野のせい。
いつも応援している明豊。今年もしっかり力を出し切ってのベスト16だったと思います。エースが最後登板できたのと、森山投手の復活が嬉しかったです。高木選手もいるし、来年以降も楽しみ!
個人的に下関国際VS大阪桐蔭以外でベストバウトだったと思うのが海星VS天理。この試合は仕事で全部は見れなくて…。最初から最後まで見たかったと思う試合です。ピンチで天理の威圧的なチャンステーマの中、ファインプレーを連発した海星守備陣はお見事でした。
私の好きなチームどうし、明徳義塾と九州国際大付が初戦で当たったのは残念でした。
九国は予選…というか春のエースのケガからトラブル続きで、よくここまで来れたなあという印象です。潜在的な力を考えると不完全燃焼だったかもしれませんが、甲子園に来れて1勝できただけでも十分だったと思っています。
明徳が面白かったのは、予選ではあまりトルネードしていなかった吉村投手が、甲子園ではしっかりヒネって投げていたこと。これって…作戦だったんですかね!?
東京大会でしっかり観戦した二松学舎と日大三にも触れておきます。
二松学舎は初めての甲子園2勝を達成したのは良かった!次に出る時は、優勝候補を脅かせるくらいのチームを作りたいですね。下級生が多く残るので、これから期待できます。
センバツで悔しい思いをした布施投手が、最後に輝いたのが嬉しかったです。瀬谷選手はU18に選ばれるかと期待していましたが残念。今年は外野手は層が厚いですからね~。
日大三は西東京の決勝が7月31日で、息つく間もなく甲子園を迎えた感じでしたね。
ベスト4まで進んだ聖光学院に互角の戦いをしましたが、もう少し落ち着いた準備期間があれば…とも思いました。東京高野連、来年以降の日程は、甲子園開幕までに少し余裕を持たせるように検討してほしい!
まとめ
2022年の夏の甲子園の感想でした。
MVPは下関国際の仲井選手、殊勲賞は下関国際&国学院栃木、技能賞は高松商の浅野選手、敢闘賞は海星かな。
コロナが5類にもし変わるなら、コロナ禍に振り回される最後の大会となるかもしれません。
集団感染認定されたチームや、個別の感染があったチームは合わせて12校。全体の4分の1ですから、今大会もかなりの確率で影響を受けました。
大会本部の懸命の努力で辞退校が出なかったのは幸いでしたが、チームによっては力を出し切れなかったということもあるでしょう。
地方大会では辞退もありましたが、今大会が、高校球児が不当に夢を追うことを奪われる最後であってほしいと願っています。
1年生からコロナの影響を受け続けた3年生球児の皆さん、本当にお疲れさま&厳しい状況の中で高校野球を盛り上げてくれてありがとうございました!