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「ここは今から倫理です。」の感想!いつか孤独を救ってくれる思想を学ぶ

漫画その他
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電子書籍ストアで「ここは今から倫理です。」の1巻が期間限定で無料公開されていたので読んでみました。

結構面白かったので、たまっていたポイントで2巻を購入して、2巻まで読んじゃいました。

ぽこ
ぽこ

その感想です!

「ここは今から倫理です。」はどんな漫画?

ここは今から倫理です。」はヤングジャンプコミックスから出ている漫画です。

ヤングジャンプなので分類としては青年コミックですが、作者は女性で、特に男性向けという感じはありません。

物語の始まり方は、

ぽこ
ぽこ

めっちゃ青年コミック…。

という感じでしたが、読む進めるうちに、イケメンの高柳先生のキャラなんかむしろ女性受けしそうな感じだなと思いました。

ハイ、主人公が高柳先生で、この先生が高校の倫理の先生です。

倫理は選択授業で、しかもほとんどの場合受験に必要な科目ではないので、クラスには何となくやる気がなさそうな生徒たちがぼさーっと集まっている感じです。

その生徒ひとりひとりが、多かれ少なかれ思春期特有の悩みを抱えていて、高柳先生はひとりずつの生徒と「倫理」を媒介にして向き合っていく…そんな感じの物語です。

高柳先生はどんなキャラ?

黒板

「ここは今から倫理です。」に出てくる生徒たちは、超絶美男美女や萌えキャラはいなくて、それぞれに個性はありますが、普通に現実に存在しそうな高校生たちです。

それに対し、高柳先生のキャラは立っていますね~。

哲学・倫理系の人間らしく、静かで無表情で論理的で大真面目で沈着冷静

典型的な哲学・倫理系でないところは、高柳先生がイケメン設定というところですね!

ワタクシ、大学では思想系の学部だったのですが、哲学や倫理の教授さんたちは…身だしなみなんかどうでもよろしいって感じが多かったですね~。

ぽこ
ぽこ

私、こういう哲学者たちって好きですけどね!

でも一人だけ、高柳先生みたいな教授がいて、妙にイケメンで、長髪で、教卓に腰掛けて足を組んで髪をいじりながら講義していましたね…何言っているかはサッパリわかりませんでしたが…。

生徒たちの悩みと向き合っていく高柳先生ですが、先生の方から熱血に近づいていくというよりは、たまたま生徒たちの心の声を聴いてしまうとかそんな感じですね。

聴こえてしまった声には教師として真摯に向き合う高柳先生は、大学で倫理の思想問題を講義するより、高校で生身の倫理問題を考える方が向いているのかもしれません。

特に面白かった回を2つ!

私が特に面白く読んだ回は2つあります。

ここからは多少のネタバレを含みますのでご注意ください!

「第3話 理想の先生」老子の性善説

まずは1巻目の第三話です。

小・中時代にいじめを受けていたけど、持ち前の前向きな性格と、恵まれた家庭環境で生き抜いてきた谷口君の話です。

谷口は高柳先生に好印象を持っていましたが、高柳先生がタバコを吸う姿を見て「一瞬で」幻滅してしまいます。

彼はタバコを吸う人間が嫌いなのです(昔いじめっ子が吸っていたから)。

これ、ドキッとしたなあ~。実は私もタバコが嫌いで、喫煙者であることを知ると、その人に対して一瞬で興味がなくなってしまうんです。

高柳先生は「善なる者は吾れこれを善とし、不善なる者も吾またこれを善とせん。徳、善なればなり」という老子性善説を谷口君に紹介します。

「人間の本性は善である」…ここを出発点としないと、いつか谷口くんは、自分から見て善でない人間(=いじめっ子、喫煙者)をいじめてしまうかもしれないよ、と。

まあ、私は性善説より性悪説の方が好きなんですが…

性善説は「善として生まれた人間が社会にもまれて悪になっていく」、性悪説は逆に「悪として生まれた人間が社会的経験を積んで善になっていく」という人間観です。私は人生は先天的でなく後天的な部分が大きいと考えたいので、性悪説の方が共感できます。

しかし、この場面で老子の言葉を引用されると、考えさせられますね。

人間の本性は善とまでは言わなくても、人間存在そのものに何か価値を見出さないと、考え方が合わない人間が、自分にとって無価値だと考えてしまう危険があります。

価値観の合わない人間をシャットアウトしがちな自分を、見つめなおしたいな~と思ったエピソードでした。

「9話 本当の私」ペルソナを演じるということ

2巻の9話「本当の私」も面白かったですね~。

SNSで「仮の自分」を発信することにはまってしまった安村さんが、倫理の時間にもスマホを見てしまい、高柳先生に没収されてしまうお話。

「先生は安村さんにどんな話をするのかな~」と思っていたら、ペルソナの話でした。

私たちは親の前、先生の前、友達の前、恋人の前…で、それぞれ違う人格のようにふるまい、それはまるで仮面(ペルソナ)を付け替えているようなものだと。

その意味で、SNSでまた違う仮面をかぶることはごく自然なことだといって、安村さんがSNSにはまってしまっていることを、まずは肯定する高柳先生なのでした。

ですが、SNSでの仮面だけを愛してしまい、他の仮面がおざなりになるのはよくないし、仮面と本当の自分がかけ離れすぎてしまうと、人格が崩壊してしまうと警告します。

日本人は本音とタテマエを使い分け、「立場」によって振舞い方を変える文化を持っています。ある意味ペルソナ大国です。

ぽこ
ぽこ

ヨーロッパ旅行に行くと、店員さんが素の接客をすることに驚きます。日本人ほどは「店員のペルソナ」を被っていません。

日本社会に何となく蔓延している「どこか満たされていない気分」は、ペルソナの多さ、また、本当の自分とペルソナがかけ離れすぎている…こういう所にも原因があるのかなあ…なんて考えさせられました。

まとめ

「ここは今から倫理です。」の感想でした!

高柳先生が冒頭で語るように、倫理は生きていく上で必ず役立つ科目ではありませんが、「死が近づいた時とか」には自分を助けてくれるかもしれません。

人生には逃げられない孤独は必ずやってくるもの…高柳先生の授業を受けておくのは、きっと時間のムダではないのでしょう。

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