電子書籍ストアで「アルテ」の1、2巻が無料公開されていたので読んでみました。
さっそく感想を書いてみます!
「アルテ」ってどんなお話?
「アルテ」は、16世紀初頭のイタリア、ルネサンス期のフィレンツェを舞台にしたコミックです。
主人公は、コミックのタイトルにもなっているアルテ。
貴族の家に生まれたお嬢様ですが、昔から絵を描くのが大好きです。
「女性の幸せは良家に嫁ぐこと」と信じ、その価値観をアルテに押し付けてくる母親に反発し、画家になる修行を積むために家出します。
「画家になりたい」という気持ちと「自立して生きていける女性になりたい」という気持ちが半々という感じです。
しかし、16世紀のヨーロッパはまだまだ男尊女卑の時代で、女性というだけで画家の工房への弟子入りを門前払いされてしまいます。
そんな中、孤独な変わり者といった雰囲気のレオという画家が、成り行きでアルテを弟子として引き取ることになる…そんなお話です。
「アルテ」は朝ドラみたいな少女の成長物語
「アルテ」は16世紀のルネサンス期のフィレンツェを描いていますが、実在する芸術家や政治家がじゃんじゃん出てくるという感じではありません。
歴史漫画というよりは、アルテという少女が、女性が画家を目指すには厳しい時代に逆境の中で夢を追いかける成長物語です。
あとがきで作者さんが、アルテのような工房の弟子が、漫画家のアシスタントに似ているようで親近感を持ったと書いているように、ルネサンスの歴史ではなく登場人物の気持ちを描くことが中心となっています。
ルネサンスの歴史を学ぶ目的で「アルテ」を読むのは、ちょっと違う感じですね。
アルテはとにかく前向きな女の子で、数々の試練にめげず、どんどん仲間が増えていきます。
物語的にはやや損な役回りのアルテの母親も、それほど悪役っぽく描かれず、全体としてさわやかな雰囲気で読みやすい漫画です。朝ドラの感じに近いです。
大変にさわやかな漫画なのですが、高級娼婦ヴェロニカの
私たちみたいに男の庇護の外で生きようとしている女にとって、溺れるような恋は地獄への入口よ、アルテ。
というドキッとするような独白もあったりします。
「アルテ」の時代に女性画家はいたの?
さて気になるのが、
ルネサンス期のイタリアにアルテのような女性画家は実在したんだろうか…?
ということです。
「アルテ」を読んですぐに頭に浮かんだイタリアの女性画家が、中野京子の「怖い絵」で紹介されたアルテミジア・ジェンティレスキです。
アルテミジアはローマの画家の家に生まれていますし、生きた時代もルネサンスより後のバロック時代(17世紀)なので、直接のモデルということはないでしょう。
ですが、アルテミジアは男性優位の社会に怒りを感じていたとか、名前が「アルテ」で始まっているところとか、少し作品にインスピレーションは与えているのかな?とは思います。
まとめ
漫画「アルテ」を読んだ感想でした。
朝ドラのような、前向きな少女の成長物語が好きな方にはおすすめです。
「アルテ」はゼノンコミックスという青年コミックから出ているのですが、少女漫画のような雰囲気です。
「アルテ」が青年コミックっぽいのは、登場人物の女性がグラマーだなあ~ということくらいですね。
最近は男性向けコミックと女性向けコミックの垣根はなくなってきているな~と感じます。