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ちくま新書「古代史講義」の感想!内容は難しいけど昔習った日本史をアップデート!

本の感想
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ぽこ
ぽこ

あちこち出歩けない今は本を読もう!何か学ぼう!

…というわけで、自分が日本古代史がそれなりに好きだったことを思い出し、古代史の本を何冊が読んでみようと思い立ちました。

私は奈良が好きで、しっかり学びたい部分は古墳時代~平城京なのですが、とりあえずは「古代史」をざっくりと頭に入れられる本を読んでみようと思いました。

そこでチョイスしたのが、ちくま新書の「古代史講義」です。

「古代史講義」はどんな本?

「古代史講義」は筑摩書房が出版するちくま新書というレーベルから出ています。

新書とは「新しく出た本」という意味ではなく、専門的な内容を一般の読者でも読めるようにというコンセプトで作られた、軽量ですが文庫よりも大きめサイズの本です。

書き手さんは一人ではなく、15人の古代史専門の学者さんが、それぞれ章を担当し、時代順に読めるように編集されています。

扱われる時代は、3世紀の邪馬台国から、12世紀の平安後期に武士が台頭しはじめるまでです。

平安末期の平家の興隆や源平争乱までは描かれません。

以下が目次です。

  1. 邪馬台国から古墳の時代へ
  2. 倭の大王と地方豪族
  3. 蘇我氏とヤマト王権
  4. 飛鳥・藤原の時代と東アジア
  5. 平城京の実像
  6. 奈良時代の争乱
  7. 地方官衙と地方豪族
  8. 遣唐使と天平文化
  9. 平安遷都と対蝦夷戦争
  10. 平安京の成熟と都市王権の展開
  11. 摂関政治の実像
  12. 国風文化と唐物の世界
  13. 受領と地方社会
  14. 平将門・藤原純友の乱の再検討
  15. 平泉と奥州藤原氏

私が20年ほどまえに高校で日本史を習ったときは、鎌倉幕府の成立からが中世という扱いでしたが、この本では武士が政権を握る前までを古代と捉えているのかなと思います。

古代史講義の難易度は?

ちくま新書は「新書」という一般人向けの本ではありますが、新書本の中では、岩波新書や中公新書ほどではないですが、やや内容が難しいという印象があります。

で、実際に古代史講義を読んでみて、どのくらい難しかったか…ですが、

少し難しめ。高校で日本史がまあまあ得意だった人でないと内容が頭に入ってこないかも。

…という感じです。

「高校で日本史がまあまあ得意だった」というのは、僭越ながらワタクシめのことです。

ぽこ
ぽこ

念のため「まあまあ」ですからね!世界史よりは得意だった程度ですからね!

たとえば「臣」と「連」の違いがわかっていないと

連姓の大友長徳が右大臣となったことから、この大臣は氏姓豪族の最有力者の大臣でなく、氏姓の臣とは異なる大臣となったのである。

…などと書かれてもよくわからないですよね。

ぽこ
ぽこ

私も高校の教科書を引っ張り出して、臣と連の違いを再確認致しました。

こんな感じなので、高校で日本史を選択していなかったり、古代史はあまり記憶に残っていないという場合は、知識ゼロでも読める、日本古代史の簡単な図説本などを先に読んでおいた方がよいです。

古代史の常識とされた定説が変わってきている!

日本史にしても世界史にしても、私のように20年前の教科書で歴史を習った世代には、歴史の常識が結構変わっています。

特に日本古代史は、ここ20年でかなり研究が進んできて、私たちの世代が常識として習ってきたことが覆されつつあるそうです。

この本に出てくる内容だけでも、いろいろと知識のアップデートがありました。

思いつくだけ箇条書きにしておきます。

  • 崇仏論争は仏教を受容するかどうかという問題だけでなく、勢力争いの一貫であった
  • 聖徳太子のモデルは実在するが、「聖徳太子」と呼ばれた人物は存在しない
  • 乙巳の変後も蘇我氏の一部は存続していて、蘇我氏内部の争いも乙巳の変には絡んでいた
  • 長屋王の変は光明立后だけが目的でなく、天武・持統の血筋を引く長屋王家を消すという意味もあった
  • 正倉院宝物は、舶来品より日本製のものが多い
  • 摂関政治といっても藤原道長は摂政の地位にあったのは最後の1年だけ
  • 遣唐使廃止→国風文化という定説があったが、遣唐使廃止後も商人による通交があり、国風文化でも唐物が重用されている
  • 受領は私服を肥やしてやりたい放題というイメージがあったが、実際には中央政府から結構しっかり監視されていた

「聖徳太子は実在しなかった」という話は最近有名ですが、他にもいろいろあるんですね。

今の日本史の教科書を読み直してみたいです!

まとめ

ちくま新書の「古代史講義」を読んだ感想でした。

内容はやや難しく、日本古代史が一通り頭に入っている方におすすめです。

何年も前の教科書で日本史を学んだ私にとっては、日本古代史の新しい常識を知るのにとても適した本でした。

また15人の学者さんの共著なので、いろいろな学者さんの考えを学ぶことができて、偏った古代史になっていないのも本書の魅力だと思います。

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