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中島みゆき「誕生」歌詞の意味を考察。命としての人生が知っていく愛

中島みゆき
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中島みゆきさんの名曲「誕生」の歌詞の意味について、解釈してみます!

「誕生」はどんな歌?

「誕生」は、1992年に発売された中島みゆきさんの27枚目のシングルです。

アルバム「EAST ASIA」にも収録されています。

長調(メジャー)の美しい旋律のバラードで、6分半を超える壮大な曲です。

「命としての人生」を、綺麗事なしに肯定的に歌い上げた、中島みゆきのまさに名曲だと思います。

「誕生」の歌詞全体は、Uta-Netのページをご覧ください。

「誕生」の大きなテーマとは?

ぽこ
ぽこ

では、「誕生」の歌詞を解釈していきます!

誕生のテーマは、タイトル「誕生」からもわかるように、「この世に生まれた命としての人生」だと思います。

命としての人生というのは、うまく説明できるかわからないのですが、生まれたということ自体が尊く、社会的な立場とは関係なく、世界から平等に歓迎や尊厳を向けられるべき存在…そんな感じです。

中島みゆきさんの歌の中では、「命の別名」や「瞬きもせず」などが、似たテーマを歌っている感じがします。

Remember 生まれたとき だれでも言われた筈

耳をすまして思い出して 最初に聞いた Welcome

このサビの部分に、この世に生まれたこと自体が喜ばれることなのだという思想が表れていますね。

中島みゆきさんは歌詞にあまり英語を使いませんが、ここの「Remember」「Welcome」は、そのニュアンスと合致する日本語がないため、意図的に英単語をチョイスしている気がします。

さて、「誕生」という歌のすごさは、同じサビ部分として2番で歌われる歌詞にあります。

Remember けれどもしも 思い出せないなら

わたし いつでもあなたに言う 生まれてくれて Welcome

生まれてくる赤ちゃんは最初に歓迎を受けることがほとんどでしょうが、場合によっては、誕生の場面に恵まれない人生もあるかもしれません。

そのような人生に向けても、中島みゆきさんは力強く歌いかけます。

「たとえ最初に歓迎を受けなくても、あなたの人生はいつでも世界に歓迎されている。誕生の場面はいつでもやり直せるんだよ」と。

泣きながら生まれる子供のように

もいちど生きるため 泣いて来たのね

本当につらいときに人の心にしみこんでくるようなこの言葉…うーん、中島みゆきの言葉力はすごいなあ…。

一番は出会い、二番は別れ

「誕生」はザックリと、1番が「出会い」2番が「別れ」の要素を歌っています。

1番では

ひとりでも私は生きられるけど

でもだれかとならば 人生ははるかに違う

と歌い出し、人生を共に生きる相手との出会いを求めるような歌詞が続きます。

それに対し2番は

ふりかえるひまもなく時は流れて

帰りたい場所が またひとつずつ消えていく

と始まり、人生で経験する「喪失」にベクトルが向いています。

Bメロの部分は1番と2番が対になっています。

1番2番
めぐり来る季節をわかれゆく季節を
かぞえながらかぞえながら
めぐり逢う命をわかれゆく命を
かぞえながらかぞえながら
畏れながら祈りながら
憎みながら嘆きながら
いつか愛を知ってゆくとうに愛を知っている

1番が「出会い」2番が「別れ」なのですが、「~ながら」の部分が、2番の方が愛に近い言葉が使われていることが面白いですよね。

「出会い」は「畏れながら」「憎みながら」愛を知っていくプロセスなのに対し、「別れ」は既に愛を知り、相手との別れが少しでも先延ばしになるように祈ったり、別れを嘆いたりするということですね。

2番には次のような歌詞も登場します。

すがりたいだれかを失うたびに

だれかを守りたい私になるの

人生では避けられない別れがありますが、その体験を経て、こんな風に大人になっていけたら素晴らしいな…と思います。

「誕生」で解釈が難しい箇所

さて私にとって、「誕生」には解釈が難しい箇所があります。

2番のBメロの後に続く、サビに入る前のココです。

忘れない言葉はだれでもひとつ

たとえサヨナラでも 愛してる意味

2番が「別れ」をテーマにしていて、「別れ」の時に人は「とうに愛を知っている」ということから、サヨナラが愛と結びつく言葉であることは解釈できます。

ただ…「忘れない言葉はだれでもひとつ」…???

ここの部分は、まず着目したいのは「忘れない」という単語ですね。

この「忘れない」を考えるために注目したいのは、サビの歌詞。

サビで「Remember」が繰り返される部分で、「Remember」の目的語になっているのは4つです。

  • 生まれたこと
  • 出会ったこと
  • 一緒に生きてたこと
  • そして覚えていること

これ、今まで何気なく聴いていましたが、「生まれる」→「出会う」→「一緒に生きる」→「覚えている」と、愛の順番通りになっているんですね!

で、2番の歌詞とつなげて考えると、「そして覚えていること」の前には、別れがあることが考えられます。

  1. 生まれる
  2. 出会う
  3. 一緒に生きる
  4. 別れる
  5. (それでも)覚えている

人生の1~5のどのプロセスにいるかにおいて、「忘れない言葉は誰でもひとつ」=「一番心に残っている言葉」は、変わってくるでしょう。

もし自分が5の、別れの後にいたとすれば、一番心に残っている言葉は「サヨナラ」かもしれません。

しかし、それを「覚えている」こと自体が愛の証明なので、「サヨナラ」だって覚えている限りは愛の言葉とも言える…そんな意味なのかなと思います。

まとめのような後記

私が初めて「誕生」を聴いたのは、実は人生で3回だけ行ったことがある中島みゆきさんのコンサートです。

「誕生」のCD発売前に歌ってくれたのですが、感動しましたね~。

ある映画の主題歌になっていたのですが、ステージで中島みゆきさんが「いい映画だから見てね!」と言ったため、歌に感動しすぎて映画まで見に行きました。

ですが映画のどんなエピソードより、エンディングに流れた「誕生」にやっぱり一番感動したという…。

今でもゆっくり集中して聴くと、精神状態によっては涙が出そうになるくらい心を揺さぶられる歌です。

ぽこ
ぽこ

淡泊な性格の私には、こういうことって珍しいことなんですよ!

今まで何となく感動しながら聴いていた「誕生」ですが、ていねいに歌詞を読み解いていくと、今まで気づかなかった歌詞のさらなる深みが見えた気がしました。

中島みゆきファンとして、「誕生」は自信をもっておすすめしたい名曲です!

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