2022年の高校野球秋季東京大会の準決勝第2試合、東海大菅生VS日大三を神宮球場で見てきたザックリ観戦記です。
あの、伝説になりそうなショートゴロファインプレーゲッツー幕切れの試合!私も現地観戦した高校野球の試合の中で、忘れられない一戦のひとつになりそう。
菅生VS三高はいろいろジンクスだらけ
東海大菅生と日大三は、近年の西東京を引っ張るツートップです。
ここに国学院久我山が食い込めるか、国士館が復活できるか…現在の西東京はこんな感じですね。
で、菅生と三高は、ツートップだから当たり前ではあるんですが毎年よく対戦します。
昨年までは勝敗が交互になるというジンクスがあったのですが、2022年度のチームは秋・春・夏と3回当たって三高が3連勝し、このジンクスが破れました。
さらに、「三高は菅生に勝ったら次の試合に負ける」というジンクスがあって、これは2019年の秋から4連続で続いています。
昨秋は菅生に勝ったあと久我山にまさかの5回コールド負けだったなあ…。
私がもう一つ感じているジンクスは、競った試合になると三高が勝ち、菅生が勝つときはワンサイド気味になるというものです。
このへんは三高の勝負強さや、スタンドが三高応援が多いことも関係するのでしょうが、菅生もここ数年タレント力のあるチームを作るためか、じわじわと菅生ファンも増えてきたという印象があります。
そのためか、この試合ではこのジンクスも終わり、菅生が接戦を制しました。
日大三有利予想を覆したものは?
今回の東海大菅生VS日大三は、試合前は「日大三有利」という声が多かったです。
菅生ファンの私でも、やっぱり試合前は
勝ってほしいけど難しいかなあ…。イヤ、難しそうだけど勝ってほしい!
…みたいな気持ちでした。
菅生ファンから見ると、1学年上のチームは、三高も強打線だったとはいえ、菅生は歴代最強チームかもという感じだったので、3戦すべて勝てる気分で臨みました。
しかし結果は3連敗。
菅生の新チームは秋季大会初戦から守備も攻撃もフラフラしていた一方で、三高も昨年の方が強そうではあるけれど攻守ともに基本がしっかりして見えて、1学年上のリベンジを果たしてほしいと思いながらも、難しいかな…少なくともいい試合をしてほしいな…と、思っていました。
まさか、こんなにがっぷり四つの展開に持ち込めるとは思っていなかったですね。
いったいなぜこの試合で菅生が予想外の力を出したのか…というと、東京大会の準決勝が準々決勝から2週間空いたのが一つの要因かなと思います。
菅生は秋季大会序盤は本当に頼りないチームだったんですけど、裏を返せば改善点が多く伸びしろがあったのかもしれません。
逆に三高はそこそこまとまっていたので、2週間で菅生の方がグッと伸びてきたのかなあ…と。
この試合の時点でも三高の方が総合力はやや上だったように思いますが、上昇気流に乗っているチームには、不思議に幸運がめぐってきたりするんですよね。
昨年度の菅生VS三高では要所で三高にファインプレーが出たのですが、今回はまったく逆の流れとなりました。
もちろん運をたぐり寄せるのもチーム力ですが、最後の三遊間に飛んだ打球がゲッツーになるかタイムリーになるかの差は、このあたりにあったようにも思います。
東海大菅生の雑感
今年の東海大菅生は、最初は「日當投手のワンマンチームなのかな」と思っていました。
何と言っても、下級生を積極的に使う東海大菅生では珍しく、1つ上の代で試合にそれなりに出ていた選手が日當投手しかいない、そんな代が3年生となったチーム。
本大会初戦の日大豊山戦でエラーや記録に残らないミスの連続で苦戦した姿を見た時は、「このチームは甲子園を期待するより成長を楽しもう」なんて思ったくらいでした。
この記事は東京大会決勝が終わった後に書いていますが、まさか「甲子園」も「成長」も楽しめるなんて…菅生ファンとして選手たちの頑張りに本当に感謝です!
この代の菅生が大きく成長するきっかけになったのは、やはり準々決勝の国士館戦で、精神的に厳しい先攻の延長戦を制したことかなと思います。
国士館戦は日當投手の調子が悪かったのですが、これまで絶対的エースに引っ張られてきたチームが、調子の悪いエースを精一杯盛り立てたように見えました。
この試合でようやく日當投手を中心に「耐えて守って接戦を制す」というチームカラーが見えてきたように思います。
あの国士館戦を乗り切った経験が、さらに厳しい日大三戦を乗り切る原動力になった気がします。
ライバルに育てられながら強くなっていくチーム。ライバルの存在って本当に重要ですね。
それにしても9回裏のショートゴロゲッツーの幕切れはシビれたなあ…。
このプレーで一躍有名になったショートの門間選手は、昨年度のチームではおそらく唯一の内野(一塁をのぞく)の控え。
セカンド小山、サード小池、ショート金谷とレギュラーが固定されていた旧チームで、一塁以外の内野でシートノックを受けていたレギュラー以外の選手が門間選手だけだったんですよね。
そのシートノックで、グラブさばきが先輩の誰よりもうまかったのが印象的でした。たぶん二塁も三塁も問題なく守れるから、彼が一人控えているだけでじゅうぶんだったんでしょうね。
ぶっちゃけ「私が見つけた選手(←もちろん違う)」と勝手に心の中で思っていたのですが、これで門間選手も有名に…さみしいような、いや、もちろん嬉しい!
田中→成瀬→金谷と続いた菅生の遊撃手、成瀬・金谷は肩自慢のショートで、田中選手は類まれなるスピードが自慢ですが、門間選手のようなグラブさばきが柔らかい選手は新鮮です。
先輩ショートとはまた違う魅力で、甲子園でもチームを救うプレーを見せてくれることを期待しています!
日大三の雑感
日大三は、試合が終わった今でも、総合力は菅生より上だったかなあ…という気持ちがあります。
最近の日大三は、全盛期ほど打線が爆発しないことが多いのですが、やはり要所で長打が出ますね。
今でも西東京で長打力ではナンバーワンだと思います。
また、三高の全盛期は素材抜群のエースと強力打線で、細かいことはせずに勝ち進むという印象でしたが、ここ数年は守備の良さが目立ちます。
特に内外野とも強肩の選手が多く、菅生のシートノックと比べると、菅生にも強肩選手はいるのですが、三高はほぼ全員肩が良いという印象を受けます。
この試合でも外野からのバックホームで初回の得点を阻止していますし、決勝点の時も外野から正確な送球が返ってきてクロスプレーとなりました。
この試合で守備の強さは随所に見せた三高ですが、敗因を挙げるとすると、攻撃で走塁ミスやバントミスが出たことでしょうね。
5回裏の二塁走者の牽制アウトは、セーフにも見えた微妙なプレーでしたが、紙一重のタイミングでの帰塁になってしまったことが招いてしまったジャッジかな、と。
まあ菅生の8回表2アウトからのゴロはセーフに見えたので、ジャッジに関してはお互い様だったかな。
エース安田は、東京大会を一人で投げぬきました。
昨年から投げている安定感抜群の投手ですが、最高学年になって、エースの風格も出てきました。
変化球を駆使した見事な投球術と、常に冷静なマウンドさばきが武器の、個人的に好きなタイプの投手です。
右の技巧派がなかなか脚光を浴びにくい今、頑張ってほしいです。もちろん菅生戦以外で(笑)!
今年の日大三はそれほど目立つ選手はいないのですが、投走攻守すべてにまとまったチームで、二松とともに2023年度の東京を引っ張る存在になりそうです。
もちろん夏に向けては、安田投手以外に公式戦をまかせられる投手が台頭してくることが必須ですね。
まとめ
東海大菅生VS日大三の観戦記でした。
この両校が当たる試合は、本当に熱戦になることが多いですね。
今後もお互いに良きライバルとして、切磋琢磨して東京の高校野球を盛り上げていってほしいです!
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