2025年のセンバツ出場校発表を見た感想です。
選抜選考に対する違和感が書かれていますが、選出されたチームを責める気持ちはありません。「一人の高校野球ファンがどのような選出に違和感を感じるのか」を書くことが、ほんの少しでも選抜選考の改善につながっていく助けになれば…というのが目的です。
一般枠予想は29勝1敗…近畿はやはり筋を通してきた
2025年の、21世紀枠をのぞいたセンバツ出場一般枠30校を予想した記事はこちら。
今回の一般枠予想は29勝1敗。
私は毎年平均的に1~2校外すので、今回はそれほど波乱のない平均的な選考が行われたという感じですかね。
個人的に当てて嬉しかったのは近畿。
当たったのが嬉しいというよりは、近畿の選考会が例年通り「筋を通す選考」を行ったことが素晴らしいと感じました。
近畿の選考は「地域性」は選考材料の中で後回しにする。たとえ大阪でも例外なく。この平等を貫く姿勢がスポーツ精神に則っていて素晴らしいです。
また、近畿では近年「府県1位校」が優先的に選出される傾向がありましたが、滋賀短大付(滋賀2位)が立命館宇治(京都1位)を上回ったことで、1位校でも近畿大会の初戦・準々決勝の結果が2位校と差がありすぎる場合は落選するという先例ができたかなと思います。
ここ数年の選出結果を見ると、準々決勝の点差7点前後の7回コールドなら1位校が選出されることもある(21年の天理)けど、二桁点差の5~6回コールドでは1位校でも厳しいというのが基準になるのかな。
最も不可解な選考は珍しく21世紀枠
さて、今回の選考で最も意義ありなのは、私にしては珍しく21世紀枠です。
私は21位世紀枠自体反対の立場で、「どのような選出理由があろうとエキシビションでない大会に選ぶべきではない」という考えなので、あまりコメントしないようにしています。
それでも最近は「他の選抜選出校となるべく同じくらいのステージまで自力で上がってきたチーム」を選出する傾向が出てきたので、その傾向は悪くないかなと思っていました。
その意味で九州の壱岐は甲子園まで「あと1勝」だったので選出はわかります。
しかし関東の横浜清陵は…県大会ベスト8…センバツまであと4勝半。神奈川は今回関東大会開催県で通常より出場枠が多かったにも関わらず、地区大会(関東大会)まで到達していません。
北信越の小松工は「あと1勝」でしたし、他の21世紀枠候補校にも地区大会まで進んでいるチームがあります。
横浜清陵にそれらの地区大会進出校を上回るような21世紀枠的な要素があるかというと…まあこの21世紀枠的要素というのは非常に主観的なのですが…私には首都圏にいくつもある「監督の手腕が良い公立校」に見えて、ことさら特別とは思えないですけどね。
さらに今回の関東地区は、横浜の神宮大会優勝で神宮枠による増枠があることが決まっていました。
わざわざ枠が増えることが決まっている関東から、他の21世紀枠候補より抜きんでた要素があるわけでないチームを選ぶのはどうも「無理やり選んだ感」があるのですが…。
どうしてそんな「無理」をしたのかというと………やっぱり関東の枠を通常より+2にしてしまうと、通常持っている0.5枠が東京に行きやすくなりますよね。それで得をするのは東京準優勝校…。
もうね、こんなこと考えたくないので、考えさせるような違和感のある選考はやめてほしいですよ。小松工を選んでおけば、異論はほとんど出なかったと思います。
関東・東京に違和感選考が戻ってきたのがコワい
さて、関東・東京は2019年のコールド敗退横浜選出で批判を浴びてから、それほど違和感のない選出が続いていました。
私も今年の予想では「フラットな選考が行われるだろう」と予想しました。
ですが…関東・東京の選考結果に「意義あり」という人が多い結果となってしまいました。
個人的な意見では、早実の選出自体はアリだと思います。
ただ、それは比較対象が山梨学院かつくば秀英だった場合の話。山梨学院はポテンシャルはかなり高いチームですが記録に残るエラーが多く出ましたし、つくば秀英は戦力を早実と比較された場合に同等、もしくは早実が上と見なされる可能性はあるでしょう。
たとえば今回、関東で地域性が重視されて、山梨学院が5枠目、つくば秀英が早実と最後の枠を比較されて早実選出だったらアリだと思いますよ
しかし東農大二が早実に劣る要素は…何なんだ?
私は東農大二も早実も現地観戦しましたが、守備力は東農大二が圧倒的に上です。投手力、打撃力は人によって評価は異なると思いますが同等くらいかと。
出場校発表では東農大二が横浜相手に2安打に終わったことが指摘されていましたね。私は現地観戦していましたがセカンドを中心に横浜内野陣が素晴らしく「普通ならヒット」という当たりが結構あったのですが…。そもそも横浜相手にヒット量産しているチームなんかないでしょ…。
それだけでなく、東農大二は初戦はコールドで勝っているのにその打力は評価されないのですか?早実の方も東京大会中盤までは打てなくて、監督さんが困ってらっしゃいましたけどね。
「早実は延長タイブレークまでした」という意見もありますが、昨年の桐光はそれでも落選しています。それに東農大二の相手は秋の全国優勝チーム。二松学舎も良いチームですが、秋の時点ではさすがに横浜が上でしょう。試合スコアは対戦相手を考慮すると、少なくとも同等だと思います。
「では山梨学院>東農大二は納得できるのか?」というと、地域性が理由なら納得できます。しかし理由発表では地域性は出てこなかったですね。
むしろ「山梨学院は最近強いから」というあまりにもヒドイ説明…。誰が考えたんですかね、このヒドイ説明…むしろ山梨学院を悪者に仕立て上げたいみたいな。これなら大阪桐蔭がボーダーラインにいたら常にセンバツ招待しなければいけなくなるだろ…(というツッコミ必至)。
一番の問題は…今回の関東・東京が2019年以前の「何だか納得できないけど特定のチームの利益を考えると説明がついてしまう選考」に戻っているように見える…ことです。
実は2020年以降に関東・東京でマトモ選考を行っていた井上明さん(延長18回松山商のエース)が、選考委員からいなくなってしまっているんですよね…。近畿の前田さんのような「筋を通す」選考委員が、関東・東京に必要かと。
まとめ
2025年のセンバツ出場校発表を見た感想でした。
高野連はほとんどの人が望んでいない7回制議論より、選抜選考の不透明選考を何とかした方が評価が上がるんじゃないでしょうか。
個人的には21世紀枠も神宮枠も廃止し、関東・東京は0.5枠なんていう不透明な枠をやめて関東5・東京2にし、残った2枠は補欠校の中から特に選出したい高校を選べばよいと思っています。この方式でも壱岐高校は選べますからね。