2019年の野球シーズンも終わりに近づいています。
アマチュア野球の締めくくりのように行われる、晩秋の神宮大会で観戦した、大学野球の東海大VS東北福祉大は、あまり見たことのない結末となりました。
その場面を見て感じたことを書いてみた記事です。
観客が震える寒さの晩秋のナイター
神宮大会を観戦に行くのは久しぶりだったのですが、
神宮大会って、こんなに寒かったっけ…!?
よく考えると、今まで見たことがある神宮大会の試合はほとんど高校の部で、晩秋とはいっても高校の部は昼間に行われるので、そこまで寒くなかったんですね。
今回は東海大学の卒業する4年生を応援するために、大学の部を観戦したので、試合が行われる時間が遅かったということです。
試合開始は夕方5時頃で、すでにナイターとなっていました。
じっと観客席に座っていると、じわじわと足元から冷えてきます。
ほとんどのお客さんがコートを着込み、よっぽど防寒対策できている人以外は、寒さに小さくなって試合を観戦していました。おそらく気温は10度を下回っていたのではないでしょうか。
スコアは面白くても非常に低調な試合
さて、東北福祉大といえば東北の雄。東海大は首都大学リーグをここの所、連覇しています。
どちらのチームも大学野球の強豪ですし、スコアだけ見ると面白そうなシーソーゲームですが、試合は驚くほど低調でした。
どちらの投手も、出てくる投手のほとんどが、ボール先行のリズムの悪いピッチング。
とにかく「鈍い」試合で、2時間たっても、試合が中盤を終わったばかりというスローペース。
投手のリズムが悪いため、野手の動きも鈍くなる…と、最初は思っていたのですが…もしかしてこれ、寒さのせいで、選手の動きが全体的に鈍くなっている…!?
11月末の晩秋のナイターというのは、それなりのレベルの野球ができる、ギリギリの気候なのかもしれません。
東北福祉大の考えられない連鎖エラーはなぜ起きた?
試合は非常に長引き、5時頃に始まった試合でしたが、最終回に入ったときには夜8時を過ぎていました。
寒いし遅いし、頑張っている選手たちには失礼ながら「帰りたい…」という気持ちもよぎったのですが、スコアは同点で、野球好きとしてはなかなか席を立てません。
長年アマチュア野球を観戦してきて、
こんなの見たことない…
ということが起こったのは、同点で迎えた9回裏、東海大学攻撃の時の東北福祉大の守備です。
何と1死後、4連続(実質5連続)で内野エラーが続き、2死目は取りましたが、その後、投手の送球エラーでサヨナラ決着という、無安打無四死球で決勝点が入ってしまったのです。
くわしくはこんな感じです。
- 3番の高く上がった内野フライをサードが落球(1死2塁)
- 4番のファールフライをサードとキャッチャーが見合う感じで落球。ファールなのでエラー記録にならず
- 4番のサードゴロを、一塁手がベースを踏まずにセーフ(1死1、2塁)
- 5番のセカンドゴロでゲッツーかと思われたがセカンドが捕球エラー(1死満塁)
- 6番は三振(2死満塁)
- 7番のピッチャーゴロが一塁に悪送球となり三塁ランナー生還。試合終了。
これだけのレベルの試合で、これほどまでエラーが連鎖するのはちょっと見たことがありません。
観客席からは、プロ行きが決まっている東北福祉大の津森投手の足をひっぱる内野に対し、「津森がかわいそうだよ~!」というヤジが飛んでいましたが、最後は津森投手自身が悪送球という、何ともいえない幕引きでした。
このエラーの連鎖はなぜ起きたのか…。
理由をズバリと言い当てることは難しいとは思いますが、やはりひとつは、晩秋のナイターという異様なコンディションもあったのではないかと思います。
東海大の方はここまでは守備崩壊していなかったので、コンディションのせいだけにはできないでしょうが、とにかく選手たちの動きが両校とも全体を通して硬かったです。
もともと寒さで体が動かないうえに、緊張する最終回の場面でエラーが出て、さらに体を思ったように動かせなかったのではないかと。
神宮大会は見直すべきではないか?高校の部は必要?
大学野球は、実はいろいろ言われる高校野球よりもずっと突っ込みどころが多いのですが、高校野球ほど注目されていないので、あまり声を上げる人もいません。
この野球シーズンギリギリに行われるナイター…見直すべきじゃないですかね?
重要でない試合ならいいかもしれませんが、神宮大会は大学4年生最後の集大成の大会。
それを、力を発揮しにくいコンディションで行わせるのはかわいそうだし、もったいないです。
何で、こんな時期にナイターをやっているかというと…神宮大会に高校の部があるからです。
高校の部が午前中に行われるので、大学の部はどうしても遅い時間になってしまいます。
高校野球の神宮大会…首都圏に住んでいる私は、西の強豪を観戦できるチャンスなのでありがたいですが、必要かといえば…見直す時期に来ていますよね。
神宮大会の優勝校には優勝した地区にセンバツ出場の神宮枠が与えられるという褒賞も、すでにセンバツ出場を実質決めている神宮大会出場校にはメリットもなく、無意味な代物となっています。
神宮枠なんかいらないよ。近年の成績に対し枠が少ない地区がたくさんあるんだから、神宮枠やめて一般枠を一つ増やせばいいよ。
…と思っている高校野球ファンは私だけではないでしょう。
そもそもデータを集められやすい神宮大会自体の出場を嫌う(と推測されている)強豪校もたくさんあります。
関東や近畿など優勝しなくてもセンバツ当確になる地区では、「センバツ出場を決めたら(神宮大会に行きたくないから)あとは流す」…なんて話も、高校野球ファンにはおなじみです(事実はわからないですけどね)。
高校野球の方が大学野球より集客力があるため、神宮大会高校の部は廃止するという案はなかなか実現しないでしょうが、4年生最後になる神宮大会くらいは、大学野球に花を持たせる努力をすればいいのになあと思います。
まとめ
神宮大会で狐につままれたような試合を見てしまったことで、最近考えている「高校野球の神宮大会いらないのでは?」という考えが高まってしまいました。
大学最後の試合がこんな形で終わるなんて、東北福祉大の4年生選手たちが気の毒でした。
印象的だったのは9回のエラー連鎖の場面で、周囲を励まし続けていたショートの元山選手。
本当に寒かった神宮球場で、心が温められるようなシーンだったなあ…。