HUNTER×HUNTERの王位継承戦…話が難しくなってきましたなあ…。
37巻に描かれる、第10王子カチョウと第11王子フウゲツの脱出劇。
失敗に終わったことはわかりますが、作戦の全貌や、登場人物のセリフの意味が、パッと読んだだけではわからなかった私。
特にわからなかったのが、センリツの「数字の文節を拾え」というセリフの意味。
めっちゃカッコイイセリフなんですが、意味はわからない…。
このセリフも含めて、疑問に思ったことをまとめてみます。
脱出劇の全容を解明しながら、これらの疑問を解決していこうと思いますっ!
まずは脱出当日までの流れを整理
まずは脱出作戦全体の流れを、最初に整理しておきます。
後の考察の時に使う表を作成するのが目的なので、流れを覚えているという方はこの項目は飛ばして先に進んでください~。
- ①36巻No.374フウゲツが能力発動してカチョウの寝室へ
フウゲツが念獣の能力を使ってカチョウの寝室に現れる。この時にセンリツがカチョウに念について説明。
- ②36巻No.376モスキート信号で情報交換を始める
センリツを信用したカチョウが、センリツにモスキート信号(若者しか聞こえない周波音。センリツは能力上聞きとれるという設定?)で室内の他の警護人に聞かれずに会話するオモチャを持たせる。
- ③36巻No.376フウゲツの実験開始
フウゲツは自分の空間移動能力がカチョウと船を脱出するために使えないかと考え、ルールを把握するために実験を始める
- ④36巻No.377脱出の計画が具体的になる
脱出に日曜の晩餐会を利用するため、晩餐会でカチョウが、フウゲツと一緒にグラスハープ演奏することを母を通じて王に提案
- ⑤36巻No.380フウゲツがハンターに保護される
自身の移動能力を実験していたフウゲツが、船内で殺人事件発生のためIDチェックしていたハンター協会に確保される
- ⑥37巻No.381ハンター協会からセンリツに指示が出る
フウゲツを保護したハンター協会がセンリツに指示を伝える
- ⑦37巻No.381フウゲツが扉のルールを把握
フウゲツは72時間の監視がつくことになったが、実験により扉のルールを把握
- ⑧37巻No.381センリツがカチョウの部屋でフルート演奏(実験)
センリツがセイコ王妃と司法局員の前でフルート演奏を披露。…と見せかけて、この時カチョウがイヤホンをしているため、イヤホンしていればセンリツのフルート演奏に意識を奪われないことを実験・確認していると思われる。
- ⑨37巻No.383計画実行
晩餐会当日。計画を決行。
なぜ脱出に最初からフウゲツの能力を使わなかった?
では疑問を解決していきましょう。
まず「どうして脱出そのものにフウゲツの能力を使わなかったのか?」という疑問です。
フウゲツの能力を使えば、フウゲツが行きの扉を使ってカチョウの所へ行き、帰りの扉の行き先を船外に設定して二人で脱出するというシンプルな作戦を取れたはずです。
これは上の表⑤の部分で、フウゲツが身柄を捕獲されたことが影響しそうです。
この時に、フウゲツの念獣の能力が移動能力であることが第一王子私設兵にバレています(37巻No.371ウショウヒの独白より)。
よって、フウゲツの能力を使って脱出した場合、失敗した時にフウゲツの責任(=積極的に逃亡を企てた)が問われる可能性が高くなるし、能力がバレている以上、作戦の成功率も下がる…ということでしょう。
- Qなぜ脱出にフウゲツの能力を使わなかった?
- A
フウゲツの能力がバレていて使いづらかったから。
なぜ晩餐会の日に作戦を決行したの?
私が最初にピンと来なかったのは、
何で晩餐会を作戦に利用する必要があるの?大がかりにやりすぎてない?
…ということでした。
ですが、これはシンプルに船内で各王子に課された約束事で解決しそうです。
37巻No.371でミザイストムが「晩餐会以外での王子同士の接触は許可されない」と言ってますね。
34巻でも第1王子の私設兵たちが、晩餐会以外で各王子、各護衛がすれ違うことはほとんどないということを話しています。
カチョウとフウゲツが一緒に脱出するためには、フウゲツの能力を使わない以上、二人が一緒にいられる晩餐会を利用するしかないのでしょう。
また、結局は実現しませんでしたが、晩餐会でカチョウとフウゲツが二人で演奏する予定を入れることで、練習という口実で、事前に計画を打ち合わせる時間が欲しかったという側面もありそうです。
- Qなぜ脱出に晩餐会を利用する必要があるの?
- A
カチョウ・フウゲツが二人そろう機会が晩餐会以外に無いから。
どうして晩餐会でキーニはわざわざピアノを弾くの?
細かいことなんですが、脱出の際に二人の王子を導く役割のキーニは、なぜ晩餐会でわざわざピアノ演奏をしているのでしょうか。
ピアノなんか弾かずに、脱出のためのスタンバイをしていた方がよさそうなのですが…。
これは舞台袖の控室が、パフォーマンスが終わった人と、パフォーマンスを待機している人、どちらも共通の場所になっていることが理由でしょう。
舞台によっては、舞台への入場控室と退場控室が舞台の左右別になっていることもありますが(たとえば左から入場して右へ退場する)、キーニが次の演者センリツとすれ違っていることから、入場と退場は同じ控室になっていることがわかります(たとえば左から入場して左へ退場)。
そうするとセンリツの演奏が始まった時に、演奏が終わったばかりのキーニが、センリツの次の登場になっているカチョウ・フウゲツの近くにいることが自然になるのです。
もちろん警護の名目でキーニが最初からカチョウ・フウゲツの横にいることは不可能ではないでしょうが、カチョウ・フウゲツの横に警護がピッタリついていると、変に周囲に警戒心を与える可能性はあります。
よって、「ピアノを弾き終わったキーニがセンリツの演奏が始まった途端に二人を導く」というやり方がベターと考えたと推測されます。
もしかしたらキーニは実際にはピアノを弾けず、何らかのセンリツの念能力でピアノを弾かせた可能性もありますね。
- Qキーニが晩餐会でピアノ演奏をした理由は?
- A
センリツの演奏が始まる瞬間に、自然にカチョウ・フウゲツのそばにいるため。
フウゲツに作戦をどうやって伝えたの?
上で作成した脱出作戦の流れを見るとわかるように、カチョウとセンリツが作戦の計画・実験を進めていきますが、この計画をフウゲツに伝えるシーンは描かれません。
ですが、晩餐会当日、フウゲツは既に計画を知っているような振る舞い方です。
さて、フウゲツにはどうやって作戦を伝えたのか…。
フウゲツが能力を使ってカチョウの部屋まで来て打ち合わせをした可能性はありますが、フウゲツ・カチョウどちらの部屋にも、第1王子の監視兵がいるためリスキーです。
次に詳しく考察しますが、おそらくカチョウ・フウゲツの脱出劇にはハンター協会が大きく関わっています。
フウゲツがハンター協会に保護された時(脱出作戦の流れの⑤⑥)、カチョウ・フウゲツの脱出劇を後押しすることを決めています(このことも詳しく後述)。
よって、ハンター協会員だけでフウゲツの周囲を固めている(36巻No.380に該当セリフあり)このチャンスに、ハンター協会がフウゲツに作戦を伝えている可能性が一番高いと思います。
- Qフウゲツにどうやって作戦を伝えたの?
- A
ハンター協会がフウゲツを保護した時に伝えた可能性が高い。
「数字の文節を拾え」の意味
さて、センリツのカッコいいけどわかりづらいセリフ「数字の文節を拾え」の意味を読み解く時間がやってまいりました。
これはセンリツが作戦決行でフルート演奏している時に、フウゲツが保護された際にハンター協会からかかってきた電話を回想しているシーンで、心の中でつぶやくセリフです。
「数字の文節を拾え」の前のセリフは、「最初に数字を言うのはハンターの符丁」というセリフ。
符丁とは暗号という意味ですから、回想シーン、「13:44現在…」から始まるハンター協会からの指示は暗号、つまり裏の意味が含まれているということです。
「数字の文節を拾え」とは、「指示の裏の意味を読み取れ」ということでしょうね。
では、裏の意味は何かというと…37巻No381のシーン、電話での指示を全部書き取ってみます。
カチョウ、フウゲツ両王子の言動には不自然な点が多く警戒を要する。何らかの方法で逃亡を画策している可能性が極めて高い。警護と平行し逃走防止にも全力で当たれ。お前は責任者のキーニをサポートしろ。
どこが裏の意味かというと…「お前は責任者のキーニをサポートしろ」。ここですね。
センリツはこの電話を受けた後、すぐにキーニと話をしています。ここではわざと、センリツとキーニが何を話しているのかが書かれません。絵面だけになっています。
キーニとの会話の後、センリツが「それでもやるしか…やるしかない!」と言っているので、この時点ではまるでセンリツが逃亡計画についてキーニに相談し、キーニが許可を出さなかったように読者には思えます。
ですがセンリツの回想シーンで、実はここは、キーニの方から自分が自殺して責任を取る形の脱出劇を打ち明けていて、センリツが止めたにもかかわらず、キーニが覚悟を変えなかったシーンであることが明かされるのです。
センリツの「それでもやるしかない」は、「キーニの協力が得られなくても脱出するしかない」ではなく、「キーニを犠牲にしてでも脱出するしかない」という意味だったんですね。
トリック小説並みのテクニックだなあ…。
で、ここは詳しく描かれていませんが、ハンター協会は何らかの形でキーニの覚悟(カチョウ王子を救うために死ぬ覚悟がある)を知っていて、カチョウ・フウゲツの脱出にも肯定的な立場。
ハンター協会がどこまで計画に関わっているかは描かれていませんが、少なくともキーニがカチョウを逃がしたいという気持ちには同意しています。
よって「おまえは責任者のキーニを全力でサポートしろ」とは、「キーニが提案する脱出計画を全力で助けてくれ。キーニを止める必要はない」という裏の意味を含んでいたんですね。
いやはや…すごい頭脳戦。カキンに傍受される可能性を考えて、表向きは「逃亡を防止しろ」と言っているのでしょう。
で、キーニの提案と、カチョウ・センリツの計画をミックスさせて、逃亡計画を練り上げた、と。
- Q「数字の文節を拾え」の意味は?
- A
「これから与える指令には裏のメッセージがあるから読み取れ」という意味。どんな裏のメッセージかと言うと、「キーニが提案する脱出計画をサポートしろ」ということ。
なぜフウゲツは助かりカチョウは死んだのか
さて、最後の疑問です。
船からの脱出は死を意味していた…このことは、カチョウもフウゲツも、ハンター協会員も思い当たりませんでした。
第8王妃オイトは「継承戦からの離脱は死を意味する」というようなことを言っていたので、もしかしたらカチョウとフウゲツの母、第6王妃セイコは何となくわかっていたかもしれません。
ですが、少なくともカチョウは母のセイコを信用していないので、脱出計画を打ち明けなかったようです。…これが命取りになっちゃったのかな…。
では、どうしてカチョウは死んだけど、フウゲツは死を免れたのでしょうか。
これは…たぶんカチョウは、身を挺してフウゲツを守ったのだと思います。
「死に襲われる」と思った瞬間に、カチョウはフウゲツに扉を出させて、その中にフウゲツが入った所で、扉がバタンと閉まります。
おそらくこれはカチョウが外から扉を閉めたのだと思います。1秒でも早くフウゲツが避難できるように。
死ぬか生きるかが1秒を争う状況だったので、自分が扉に滑り込む数秒を捨てて、自分は死ぬ覚悟でフウゲツを扉の中に避難させたのでしょう。
本当に1秒を争う状況だったと思いますが、数秒早くフウゲツが扉の中に逃げこんだことで、フウゲツはギリギリで助かりました。
ですが、死ぬ覚悟で脱出艇の中に残ったカチョウは死んでしまいました…。
そしでカチョウの死後の念が宿ったカチョウの姿をした念獣が、今後、フウゲツを強固に守っていくのでしょう。
カチョウの遺体は脱出艇に残っているため、カチョウの死は何人かに伝わっている可能性はあります(第2王子カミーラの私設兵は一部情報で死亡説があることを知っている)。
ですがカチョウは司法局で話を聞かれていることになっているので、カチョウの念獣は念能力者だけでなく一般人にも見えていて、死亡説と生存説が入り混じる形で今後の話が進みそうです。
- Qなぜフウゲツは助かってカチョウは死んだのか?
- A
カチョウは自分は死ぬ覚悟でフウゲツが入った瞬間に外から扉を閉めた。カチョウが数秒をかせいだおかげでフウゲツは助かった。
まとめ
あー、これだけ考察して、やっとカチョウ・フウゲツの脱出劇が理解できました!疲れた~。
それにしてもカチョウ姉ちゃん…カッコよすぎるし、生きててほしかったですね…。
フーちんはいつカーちんが念獣であることに気づくのか…今からその瞬間を思うと心が痛いです…。