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白山高校を見て思った。選抜の21世紀枠はいらないんじゃないか…

野球ボール 高校野球
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2018年の夏の甲子園では、三重代表の白山高校が話題になりました。

5年前は部員が5人しかいなくて、10年連続で三重大会初戦敗退の公立校。

21世紀枠で出てきた高校?

と、思う方もいらっしゃるかもしれませんが、夏の甲子園大会に21世紀枠はありません

白山高校の甲子園での試合を見ながら、「春の選抜の21世紀枠は本当に必要かな…」とちょっと考えてしまいました。

21世紀枠とは?選考の基準は?

21世紀枠」とは、春の選抜高校野球大会で採用されている、甲子園出場校を選出する基準のひとつです。

春の選抜甲子園は、各都道府県の優勝校が集まる夏の大会と違い、「選抜」という文字通り、出場校が選考委員会によって選ばれるスタイルになっています。

春の選抜に出場する全32校(記念大会は36校)のうち、29校は、各地区大会の上位進出校から選ばれます。

そして残りの3校が、「21世紀枠」として選ばれます。

21世紀枠とは何かというと、ぶっちゃけて言うと「普通の選出方法だと甲子園に出てこれないような、話題性のある公立校を3校選ぼう」という感じの選考枠です。

主催者の毎日新聞のサイトに記載してある具体的な選考基準を、かんたんな言葉に変えて書いてみます。

  • 秋の都道府県大会のベスト16以上
  • 部員が少ない、環境が悪いなどの悪条件を抱えているチーム
  • 文武両道
  • あと少しで甲子園というステージでの惜敗が続いている
  • 練習にオリジナリティがある
  • 地域のボランティア活動などに取り組んでいる

なぜ21世紀枠が必要とされるの?

どうして甲子園大会に21世紀枠が必要なの?普通に秋の大会で成績がよかったチームを32校選べばいいんじゃない?

と、思われるかもしれません。

21世紀枠が選抜甲子園大会に導入されている背景としては、「公立校と私立校の格差」があります。

21世紀枠の選考基準に「公立校」という基準はないのですが、実際に21世紀枠として選出される高校のほとんどが公立校です。

最近の高校野球では、公立の高校が甲子園に出場する割合が、年々減ってきています。

21世紀枠のような特別枠が設けられていない、夏の甲子園大会での公立高校の出場数は、ここ5年で2014年が13校、2015、2016年が10校、2017、2018年が8校と、じわじわ少なくなっています。

もっと長いスパンで見ると、1990年代には公立校出場の割合が30~40%だったものが、2000年代には20~30%、2010年代には10~20%と、目に見えて減少しています。

「これでは、普通の公立校に通う高校生が、甲子園という目標を持てずに、野球離れしてしまうのではないか」という、野球の未来のためという理由。

「資金が豊富な私学よりファンに人気が高い公立校を出場させることで、大会を盛り上げよう」という戦略面からの理由。

21世紀枠は、以上のような背景から導入されています。

白山高校は特別扱いなしで夏の甲子園に見参した!

前置きが長くなってしまいましたが、白山高校の話に戻ります。

白山高校は、特集記事をいくつか読むと、21世紀枠の選出理由として上に記載した、1、2、5の条件を満たしています。

春のセンバツであれば、21世紀枠として選ばれそうな高校でありながら、白山高校は、他の私学強豪と同じ方法、特別扱いなしの完全に実力で、甲子園切符をつかみ取ったのです。

カッコイイ~!!!

21世紀枠でなければ相手校も試合がやりやすい?

ホームべース

春の選抜で21世紀枠に負けてしまった私学の監督さんが、「21世紀枠に負けて恥ずかしい」という主旨の発言をしたことがあります。

やや言葉が強すぎて、批判を浴びた発言ですが、21世紀枠と試合をする高校は「勝って当たり前、負けたら恥」と思われるため、「やりにくい」と感じる部分があるのは本音だと思います。

また、あまりにも21世紀枠校と実力差があって大量得点差がついた時、「手をゆるめるべきなのか…?」と考えてしまうこともあるでしょう。

ですが、白山高校のように、山あいの公立校チームでも、自分たちと同じ条件で甲子園に出てきている場合は、普通に試合をすればよいだけです。

負けたら、一部の心ないファンからは叩かれるかもしれませんが、相手も実力で甲子園に出てきているのだから、相手が強かった、それだけです。

白山高校は、甲子園では愛知の私学・愛工大名電と戦いました。

結果としては10-0と敗れてしまいましたが、両チームとも持てる力をぶつけ合った、すがすがしい試合に感じました。

スタンドはやはり白山応援が多かったですが、グラウンドの選手たちはそれに左右されず、両チームとも冷静に、試合に集中していたのが印象的でした。

21世紀枠的な選考を否定するわけではないけれど

野球ボールと花

「白山高校ができたんだから、他の公立もがんばれば、自力で甲子園に来れるだろう。だから21世紀枠は必要なし」と言う気はありません。

ですが、白山高校から感じたこのすがすがしさ、これはやはり、白山が「21世紀枠」ではなかったからだと思うんですよね。

私個人の価値観を言えば、スポーツの特別優遇は好きではありません。

それでも高校野球では、「実力が全て」の世界は夏の甲子園にあるので、春は多少こういう手心があってもよいのかな、とも思います。

しかし、「21世紀枠」という枠はやめて、現在「21世紀枠」に適用している選考条件を、普通に32校選考の中に入れてしまってはどうでしょうか

秋季大会で、ユニークだったり、悪条件を克服しているチームが、地区大会で上まで勝ち進んだ場合に、少し成績が足りなくても選考してしまえばよいのではないでしょうか。

選考基準があいまいになるという意見もあるかもしれないですが、21世紀枠でない一般選考も、結構あいまいで毎年議論になるので、逆にこういうユルさがあった方が、「まあセンバツはそんなもんだし」って感じで受け入れらないですかね?

考えが甘いかな?でも「21世紀枠」という肩書は、あまり誰の得にもなっていない気がするんですよね。

最後にもう一度言わせてもらいますが、

白山高校、カッコイイ~!!!

その白山高校のカッコよさを見ながら、夏だというのに、つい春の選抜について考えをめぐらせてしまった私でありました。

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