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三浦しをん「舟を編む」の読書感想文!辞書を舟に見立てる感性がステキ!

本の感想
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三浦しをんさんの「舟を編む」を読みました。

ぽこ
ぽこ

さっそく感想を書いてみます!

「舟を編む」のネタバレなしのあらすじ紹介

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「舟を編む」は、人気作家三浦しをんさんの小説です。

「舟を編む」に登場する辞書「大渡海」風に紹介すると…

ふねをあむ【舟を編む】2011年に光文社から発売された辞書作りを題材とした小説。作者は三浦しをん。2012年の本屋大賞を受賞し、映画化・アニメ化もされたベストセラー作品。

ぽこ
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こんな感じですかね。

辞書作りに励む、大手出版社勤務の男性・馬締(まじめ)が主人公です。

言葉や辞書に関する登場人物たちの示唆に富んだ考え方やセリフに、ハッとさせられます。

また、少々コミュニケーション下手で風変わりな主人公が、辞書作りを通じて、周囲の仲間たちと助け合っていくストーリーも読みごたえがあります。

「言葉への感性を磨く」「仲間と一つのことをやり遂げる」といった点では、高校生が読書感想文を書く本としても向いていると感じます。中学生にはちょっと難しいかも。

「舟を編む」のネタバレなしのザックリとした感想

まず「舟を編む」の、ネタバレなしの率直な感想を書くと…面白かったです!!!

三浦しをんさんの本を読んだのは4冊目ですが、今まで読んだ中で一番面白かったです。

私にとって三浦しをんさんの小説は、ストーリーが軽快で感性豊かな文章が楽しめる反面、リアリティに欠ける登場人物設定やセリフ回しがあり、小説の世界に入り込めないことが多いです。

「舟を編む」も、最初のうちは「ああ、やっぱり三浦しをんさんの作品って感じだなあ…」と、あまり小説に没頭できず、途中でやめようかな?と思ったりもしました。

ですが、中盤を過ぎたあたりから物語にグイグイ引き込まれ、第四部あたりからは一気読みしちゃいました。

「舟を編む」はいろんな読み方ができると思いますが、お仕事小説として読むと、どんどん胸熱になっていきます。

ぽこ
ぽこ

自他ともに認める、働き者ではない私ですら熱くなれる展開でした。

上にも書いた通り、物語の序盤は「なぜ本屋大賞?」と思うような展開でしたが、後半はかなり面白く、途中でやめなくてよかったと思いました。

序盤で「あまり自分に合わない作品かも…」と思っても、できれば最後まで読んでみることをおすすめします!

辞書=船であるという素敵な感覚

ここからは「舟を編む」のネタバレを含みますので注意してください!

「舟を編む」は、まずタイトルが素敵ですね。

主人公たちが作る辞書の名前は「大渡海」。

その名前の由来を、長い間辞書作りで二人三脚してきた出版社の荒木と、元大学教授の松本先生が語ってくれます。

辞書は、言葉の海を渡る舟だ

ひとは辞書という舟に乗り、暗い海面に浮かびあがる小さな光を集める。もっともふさわしい言葉で、正確に、思いをだれかに届けるために。もし辞書がなかったら、俺たちは茫漠とした大海原をまえにたたずむほかないだろう

海を渡るにふさわしい舟を編む

いやー、素敵ですね。

私は基本的に「言葉は伝わればいい」タイプの人間で、日本語の誤用などはあまり気になりません。

言葉は正確な意味を誰かによって決めつけられるものではなく、それを使う人々や時代が変化するにつれて、変わっていくものだと思っています。

しかし、それでも何かの基準がなければ、言葉による誤解が増え、海でたとえるなら舟どうしの衝突事故や、遭難する舟が増えてしまうことでしょう。

松本先生が物語の終わりでおっしゃるように、

言葉は、言葉を生み出す心は、権威や権力とはまったく無縁な自由なものです。また、そうであらねばならない。自由な航海をするすべてのひとのために編まれた舟。

言葉はもちろん自由なものだけど、自由な航海のためにはその自由を保証するための辞書的なルールがなければならない。

そのルールを、自由を縛る権力とは無縁な立場(=私的な出版社)から作るというのが、「大渡海」という辞書が掲げる理念です。

今まで私は「言葉は通じればルールから逸脱したっていいじゃない?」と思っていましたが、辞書は言葉の自由を縛るものではないのだという考え方にはハッとさせられました。

西岡と岸部がいい味出していると思う!

「舟を編む」で、もうひとつ感銘を受けた部分を紹介します。

【西行】の項に、「遍歴するひと・流れもの」という意味をつけ加えた方がよいと、西岡という登場人物が考えますが、その理由はこうです。

実際の「流れもの」が、辞書で【西行】を引いた時に、西行の項目に「流れもの」という項目があるのを見たら、

そいつはきっと、心強く感じるはずだ。『西行さんも、俺と同じだったんだな。大昔から、旅をせずにいられないやつはいたんだ』って

同じような考え方を、後半に登場する岸部も口にします。

辞書を引く人の気持ちまで考える」というのは、辞書作りには不要なものかといえば不要です。

しかし不要ではありますが、書かれた内容を目にした人が心ならずも元気づけられるような辞書…そんな辞書は確かに魅力的ですよね。

辞書が舟にたとえられるならば、舟とは人を乗せるもの。そして時には人を救うもの。

そんな理念まで込められた辞書は、人の手によって丁寧に作りこまれたもので、もしかしたら今後の辞書編纂にはAIが取り入れられるかもしれませんが、AIには作れないものかもしれません。

「大渡海」編纂の主任である主人公の馬締は、天才肌ながら、人とのコミュニケーションは苦手です。

それに対し、馬締の前・後半のパートナーである西岡と岸部は、どこにでもいるタイプの凡人として描かれますが、そんな西岡と岸部が、「大渡海」編纂には欠かせない存在であることも、この物語の魅力だなと感じます。

まとめ

「舟を編む」の感想でした。

これからの辞書は電子辞書が主流になっていくでしょう。

電子辞書と紙の辞書の大きな違いは、調べた言葉以外の項目が目に入るかどうか

紙の辞書では、調べた言葉の近くにある言葉が気になって、気がつくと目的以外の言葉の項目を延々と読んでしまったなんて経験があるのではないでしょうか。

もちろん電子辞書はすばやく目的の語にたどりつき、ずっしりと重くて分厚い辞書を持ち運ばなくて済むというメリットもあります。

ですが、言葉の海を泳いでいくには、電子辞書よりも紙の辞書の方が面白い舟なんだろうなと思います。

電子辞書が目的地まで外に出れない高速船なら、紙の辞書は甲板に出て海の雰囲気を楽しめる大型船というところでしょうか。

紙の辞書を引く機会は私自身減ってきていますし、これが自分にどのような影響を与えるのかはわかりません。

「舟を編む」を読んだからといって、自分の言葉力が深まったとは思っていませんが、それでも辞書や言葉について、少し立ち止まって考えるきっかけにはなった…そんな素敵な本だったなと感じています。

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