秋季高校野球東京大会の観戦記、準決勝の二試合目、二松学舎と日大三の試合の感想です!
東西東京の「大らか野球」対決!?
今秋の高校野球東京大会は、シード制導入が話題となりました。
右の山はトーナメントの隅をゲットした、夏の独自大会・東の優勝校帝京と、西の準優勝佼成学園が早い段階で姿を消し、それほどシード順位が高くなかった二松学舎と日大三が勝ち上がり、準決勝で対決することになりました。
シード順位がそれほど高くないとは言っても、二松学舎と日大三は東西東京を代表する強豪校で、甲子園の常連校です。
二松学舎も日大三も伝統的に強打のチームですが、今年はどちらも前評判の高いサウスポーを擁し、戦う前から投手戦になることが予想されていました。
面白いのは、準決勝の第1試合は東海大菅生VS関東一で、東西の「きっちり野球」をやってくるチーム同士がぶつかったのに対し、第2試合は東西の「どちらかといえば大らか野球」のチーム同士の戦いになったことですね。
また、東海大菅生(西のきっちり)と二松学舎(東の大らか)は仲がよく練習試合を頻繁に行うことで知られていて、日大三(西の大らか)と関東一(東のきっちり)は監督さんどうしが師弟関係にあります。
ベンチ入れ替えの際、菅生と二松の監督さんどうしは何やら話し込んでいました。三高側のベンチは私の席の位置から見えませんでしたが。
この準決勝2試合を、菅生・二松グループと三高・関一グループの戦いという観点で見るのもひそかに面白いな~と感じました。
日大三の雑感
まずは勝利した日大三について感じたことを書いてみます。
今年度の日大三は、東京本予選が始まってからずっと「とにかく打てない」と言われてきました。
「とは言っても、小山台戦以外はしっかり点を取っているのにな…」と思っていましたが、実際に生観戦してみると…確かに…打線が弱いかどうかはともかくとして、少なくとも打線が湿ってはいる…。
相手の二松学舎の秋山投手が好投手ということはあるのですが、手も足も出ない完璧なピッチングというほどではなくカウントが悪くなることも多いのですが、とにかく日大三の方に打てる感じがない。
完全に外しているボールを空振りするシーンも何度かあり、ちょっとビックリしました。
しかし逆に言うとこれほど打線が仕上がっていないのに準決勝まで勝ち上がってきたのは、他の部分が優れているからですね。
ハイ、投手力と守備力の高さです。
先発左腕の宇山投手はスラっとした体形で、カミソリみたいに鋭い直球がビシッと決まり、見ていて気持ちの良いピッチングです。
カウントもストライク先行することが多く、後述しますが二松の秋山投手とは何から何まで対照的で面白かったです。
宇山投手の課題としては、今年は試合経験が少ないのも影響しているとは思いますが、マウンド度胸という部分ですかね。
ピンチで急に乱れてしまう場面が何度かありましたが、最終回の乱れに対しては、日大三はもう一枚持っていたカードが効きました。
リリーフで出てきた岡村投手も左腕ですが、こちらは絶体絶命のピンチで登場したとは思えないくらい落ち着いた見事なピッチングでした。
とにかく今年のチームは、通常は打たないけどチャンスで集中力を発揮し、少ない安打で点を取って勝ち切るという部分も含め、早川投手の時の木更津総合が三高のユニフォームを着ているみたいな不思議なチームです。
ただこのチームカラーを狙って作ったという感じはなく、夏に向けて打線はもっと上がっていくのではないか…そうなったらかなり強くなるんじゃないか…という印象です。
二松学舎の雑感
東京は東より西の試合を見に行くことが多い私は、二松学舎の試合を生観戦するのは何と初めてでした。
二松学舎は…とにかくベンチの元気がスゴイ!
今日は東京を代表する東西の強豪4校を観戦しましたが、二松学舎のベンチの雰囲気は非常に独特なテンションで、見ていて面白かったです。
「いいんだよォ、俺たちはもう2回死んだんだからー!!!」というベンチの声が響き渡ったときは、スタンドが笑いに包まれて、緊迫した試合なのに球場は和やかな雰囲気になっていました。
さて「2回死んだ」という言葉が示すように、今年の二松学舎は土壇場で試合をひっくり返すという粘り強さを見せて勝ち上がってきました。
チームの中心は「大江2世」とも呼ばれる左腕、秋山投手。
ずんぐりした体形から、球質の重そうな剛球を投げ込む力投派で、「細かいコントロールは気にするな!」という感じ。
事実コントロールが良いとはいえず、ボールスリーになる場面が目立つのですが、驚異的なのは秋山投手のタフさ。
ボールが先行しても全く気にしないそぶりで、打者との粘りあいには秋山投手が勝利することが多かったです。
いいですね~、こういうエース。チームを勝ちに導く強さのあるエースです。
ただどうしても結果的に球数が多くなるので…ノーヒットを続けながら、8回にはついに日大三打線につかまってしまいました。
とはいっても大崩れしない強さがあるのが秋山投手で、大量失点はしなかったことが最終回までこの試合をわからなくしました。
最終回ねえ…いろいろありましたねえ…。
二松学舎の打線は日大三よりずっと振れていたので、最後まで強気に打っていったほうがよかったんじゃないかなあ…ていうか余計なことしなければ追いついてたんじゃないかなあ…結果論ですが。
ただ、あの場面で「まさか!?」という代打の代打や、追い込まれてからのスリーバントスクイズを敢行するのが、ある意味二松学舎なんですかねえ…成功しないことまで含めて。
あれもこれも含めて二松学舎というチームは面白いです。
ちなみに決勝のスタンドで市原監督のお姿を拝見しましたが、スーツ姿がすっごくカッコよかったです!
まとめ
2020年秋季東京大会準決勝第一試合、日大三が二松学舎に3-2で勝利した試合の観戦記でした。
準決勝第一試合の観戦記はこちら。
決勝の観戦記はこちら。