HUNTER×HUNTERの38巻を読みました。
ついに幻影旅団結成のエピソードが明かされましたね。
このエピソードに出てくる流星街の少女シーラは、実は「HUNTER×HUNTER0巻」に登場しています。
私はジャンプで読みました。「このストーリーは後々読めなくなるだろうな」と思って、この号のジャンプは保管しています。
38巻と、ハンター0巻の内容を突き合わせると…幻影旅団がクルタ族を襲撃したのは復讐が理由なのだろう…という感じが強くなってきました。
以下、考察してみますが、考察のキーパーソンとなるのが「シーラ」です。
「シーラ」についてわかっていること
まず「シーラ」について、作中で明らかになっている情報を集めてみます。
この中でも特に重要な情報をピックアップすると…
- シーラは流星街出身でクロロ達の幼なじみ
- クルタ族の村を訪れている
- シーラ消息不明になってからクルタ族襲撃事件が起こる
…これだけの状況がそろえば、旅団のクルタ族襲撃にはシーラが絡んでいることは間違いないでしょう(ただの偶然だったら偶然すぎる…)。
シーラはクルタ族の「掟」によって死んだ説
さて。問題は「シーラのその後」です。
シーラは置手紙を残してクラピカたちのもとを去ってから、どこで何をしているのかさっぱり不明です。プロハンターになれたかどうかも不明。
ここからは推測になりますが、シーラは少なくともプロハンターにはなっていないのではないか?と思われます。
プロハンターになっていれば、ここまでの話の展開で一度くらい登場がありそうですし、プロハンターなら、キメラアントが流星街に侵入した際にシーラも駆けつけそうなものです。
ではシーラは何をしているか…というと、私はクルタ族の「掟」によって死んだのではないか?と踏んでおります。
クルタ族は、居住区を外の人間に知られないよう定期的に移住しています(0巻のクラピカ父のセリフより)。
またクルタ族には「掟」があります。それは秘密を守れる大人以外は森(居住区)の外に出られないというルール。
この掟を破ると重い罰がありますが、クラピカは「どんな罰かは知らない。誰も破った人がいないから」と言います。誰も掟を破らないほどの重い罰…たぶん「死」でしょうね。
物理的な処刑ではなく念能力的な「死」。クルタ族が全員で「外に出ない」という誓約を守ることで発動しているのではないかと。
クルタ族の居住区を知られないために、中の人間が出ていけない(勝手に出たら死)ならば、逆の「掟」も必要です。
それは「外部から人間が入ってきたら死ぬ」という掟。
この掟が「外部からクルタ族の村に入って来たとたんに死ぬ」ルールなら外部から嫁いでくることができないので、「外部から入って来た者は許可なしに出ていくと死ぬ」というルールかな。
シーラはこのルールを知らずに、クルタ族の村を出てしまい命を落とした。
この「掟」があるからこそ、長老はクラピカが外部から本を受け取っていたことを知っても、「誰からもらったのか」と詰問せずに余裕だったのではないかと…。
復讐だとすると旅団は「やりすぎ」では?
旅団ほどの念能力者集団であれば、シーラの消息がわからなくなった場合、シーラの死の原因にたどりつくのは容易でしょう。
または、流星街の長老たちがシーラの死を先に知り、旅団に復讐を依頼した可能性もあります。
クロロの旅団結成理由のひとつは、流星街を小悪党どもが近づけないような街にデザインすること。
悪党集団を作ったのも、「流星街に手を出したらバックについてる旅団がヤバイ」という抑止力となるためですね。
シーラの復讐と兼ねて、世界中に「旅団が極悪非道の恐怖の集団である」ことをアピールする目的で、クルタ族を残忍な方法で全滅させたのではないかと考えます。
そこでわざわざ「我々は何ものも拒まない だから我々から何も奪うな」…という犯行声明まで残しているのかなと。
もしこの仮説が当たっているとしたら、クルタ族からすると、シーラは立ち入り禁止の村に侵入したことで命を落としたわけですから、復讐はお門違いですし、やりすぎでもあります。
ですが流星街側から見ると、移動民族であるクルタ族が領土を主張するのはおかしいし、立ち入ったからといって問答無用で死というのは保身が過ぎます。
また、流星街の人々は「引き算も足し算もしない」と言われてますし、クロロは目的遂行のために悪党になることを覚悟している…以上のことを考えると、この仮説はアリなんじゃないかと思います。
この仮説の齟齬を2つ挙げておく
さて。私の仮説をまとめると以下の通り。
幻影旅団がクルタ族を襲撃したのは、幼い頃の仲間・シーラがクルタ族の掟によって死んでしまったことへの復讐と、旅団がバックについている流星街の恐ろしさを世に知らしめるため。
しかし…実はこの仮説には、原作と2つの齟齬があります。
- シーラの復讐にしてはヨークシン編での旅団の「緋の目」への反応が薄すぎる
- ハンター0巻で、襲撃された後のクルタ族の発見者が「旅の女性」なのだが、この女性がシーラなのでは?そうするとシーラは死んでいないことになる
うん。オカシイですね。ですが、せっかく立てた仮説なのでひっこめずに、この2つの齟齬の方に何か理由があるのではないか?という線で考えてみます。
ヨークシン編での反応の薄さはクロロの情報隠蔽?
もし旅団のクルタ族襲撃がシーラの死に対する復讐だったとしたら、旅団にとってクルタ族は特別に憎い相手でしょう。
ですが、ヨークシン編でクルタ族に言及する時の旅団の反応は非常に薄いんですよね。
ウボォーギンは「クルタ族?知らねェな」という反応で、しばらくしてから思い出し「ありゃあ大仕事だった あいつら強かったな…」。
ウボォーよりは記憶がしっかりしていそうなパクノダでさえ「緋の目…思い出した 目が赤くなる連中ね」ですからね。
この反応の薄さは幻影旅団の残虐さのイメージを強める効果がありました。一つの民族を滅ぼすような大虐殺すら覚えていない…みたいな。クラピカの怒りも煽られていましたね。
…そこから可能性として考えられるのは、クロロはクルタ族襲撃を流星街から住民の死への復讐として請け負ったが、団員には死んだ住民がシーラだと伝えていなかったのではないか…ということです。
なぜなら、シーラの復讐であれば団員たちが被っている悪役としての仮面が、感情の昂ぶりによって壊れてしまうから。
ウボォーが「大仕事」と表現しているように、他の団員は流星街から請け負ったシンプルな仕事として、感情を動かさずに冷徹に仕事をこなしたのではないでしょうか。幻影旅団の残虐さをアピールするために。
「旅の女性」はシーラの幽霊?
もうひとつ。ハンター0巻にクルタ族虐殺の第一発見者が「旅の女性」とあるため、第一発見者=シーラだと考える読者は多いです。
で、そうすると、シーラが先にクルタ族の居住地を探しに行き、幻影旅団に伝え、旅団が襲撃した…つまりシーラと旅団はグルだと。
この説に基づいて、旅団のクルタ族への襲撃にはサラサ事件が絡んでいるとか、さらに黒幕(ツェードリヒとかモレナ)がいる等の考察も目にしますね
私は、シーラと旅団が協力した可能性は低いと考えています。
シーラが旅団結成に加わらなかった理由のひとつは、38巻で旅団結成の裏で描かれている表情を見ると、「悪党として生きる」ことに賛同できなかったからではないかと思うんです。
クロロが言う通り「サラサは決してそんなこと(=悪党として生きる)望んでいない」し、サラサと最も仲が良かったシーラもサラサと同じ考えなのでしょう。
旅団に手を貸すのなら、あの場面で袂を分かつ必要もないですしね。
では第一発見者の「旅の女性」は誰か…というと、ハンターで暗黒大陸編になってきてからよく出てくる「幽霊」…シーラの霊なのではないかと思います。
シーラはクルタ族の村を訪ねた時点では念能力者ではなさそうですが、死に際して流星街出身者ならではの強い念が発された。
「クルタ族をせめて早く埋葬してほしい」というささやかな願いから、第一発見者を演じたのではないか…と思います。
まあ、普通にパクノダとかマチが第一発見者を装ったなんてこともありそうですけどね。
まとめ
以上、「シーラ」が本編に登場したので、考察せずにはいられなかった旅団のクルタ族襲撃についての駄文でありました。
ハンターに数多く残る謎や伏線の中で、旅団のクルタ族襲撃の真相だけは本編で明かされるのではないかと考えています。