ロシアW杯は、フランスの優勝で幕を閉じました。
クロアチアのモドリッチ主将を応援していたのですが、やはりフランスの方が強かったですね。
さて、今回はSNS時代のW杯だったなあ…と感じたのは、ネット上でさまざまな「批判」が飛び交ったこと。
日本で多かったのは、日本のポーランド戦の後半パス回しと、世界的に盛り上がった、ブラジルのネイマール、フランスのムバッペに対する過剰演技への批判です。
これらの問題にはさまざまな背景がありますが、すべてに共通しているポイントは「時間稼ぎ」。
このサッカーの「時間稼ぎ」について、私なりに考えてみました。
「時間稼ぎ」は時間制スポーツにおいて普通のこと
バスケットボールを描いた、スポーツ漫画の名作「スラムダンク」で、安西先生の決めゼリフに「あきらめたらそこで試合終了ですよ」というのがあります。
その一方で、作中には、海南の清田信長が、「残り19秒ボールをキープしてウチの勝ちだ!!ザマミロ!!」と心の中で思うシーンがあります。
スポーツの試合は、確かに「あきらめたらそこで試合終了」です。
しかし、試合時間が決まっている、時間制スポーツには時間の壁というものが存在します。
いかにスラムダンクの主人公チーム湘北が、不屈の精神を持っていたとしても、残り19秒で、もし10点差をつけられていたら、あきらめなくても、勝敗としての試合は事実上終了しています。
その意味では、点差をリードしている方が、点差を保ったまま、点差をくつがえせない時間帯までゲームを進行させるのは、サッカーに限らず、時間制スポーツで試合に勝つための、常套手段です。
私は「時間稼ぎ」自体は、サッカーの試合で、責められることだとは思いません。
問題は「時間稼ぎ」のやり方ではないか
ただし「時間稼ぎ」は、ある程度は上手にやる必要があると思います。
というのも、スポーツは単なるゲームとは違い、スポーツマン精神にのっとって行われるべきだという、世界的なコンセンサスがあるからです。
世界的なコンセンサスとか、ちょっとかっこつけちゃいましたけど、「だいたいみんなそう思っている」というくらいの意味です。
そうすると、たいした接触でないのに時間を使って痛がる、相手ボールからのスタートなのにボールをなかなか渡さない、後方で生産性のないパスを繰り返す…などといった時間稼ぎが、世界から批判されるのはやむを得ないかな、と思います。
ちょっと私の考えをまとめてみると、
時間稼ぎは別にやってもいいと思う。でも、世界最高峰のW杯でプレーする選手たちは、もう少しレベルの高い時間稼ぎ方法を実践できてもいいんじゃない?
という感じです。
具体的にどうしろと言うんだよ!と言われると難しいのですが、ブラジルやアルゼンチンの選手たちがリードしている試合の後半で見せる、ファンタスティックな時間稼ぎには「おおっ!」と思います。
時間稼ぎなんですけど、相手にボールを渡さずに、上手に上手にパスをつないで時間を使うんですよね。
もちろん、南米の選手たちは、厚顔な時間稼ぎをすることもありますけどね(苦笑)。
どうしても時間稼ぎがダメならルールに盛り込むべき
さて、時間制スポーツで、時間稼ぎを明確に禁止しているスポーツもあります。
そうです。柔道です!
ポイントをリードしている方が、このまま残り時間を消費するために、防御ばかりしていると、「指導!」と審判に言われて、相手にポイントが入ってしまいます。
もし、サッカーも、「時間稼ぎはサッカー精神に反する」と言うならば、明確に規定を設けて、遅延行為に対して出されるイエローカードの規定を、今よりも厳しくすればよいと思います。
個人的には、「ずる賢さ」というものが、それほど悪徳だとは考えられていない欧州・南米中心のサッカー界で、ここまで潔癖なルールを作る必要はないかなあとは感じます。
ただし、「時間稼ぎはダメ!」という声が多く、その声にサッカー界が沿うというのであれば、明確にルール化する必要があるでしょう。
しっかりルール化されれば、誰も時間稼ぎをしなくなる…と思います…が、時々サッカー界には、サッカーはとびきり上手なのに、常人には想像できないようなことをする選手がいるので、何とも言えない…