「おおきく振りかぶって」の33巻が発売になったので読みました!
さっそく感想を書いてみます!
崎玉のARCとの0-1はちょっと非現実的!?
33巻の冒頭は、西浦に勝った崎玉とARCの試合です。
ARCは投手以外は2軍構成とはいえ、崎玉は0-1と善戦の末に破れます。
ARCは埼玉最強の野球エリート校という設定で、現実の埼玉県でいえば、浦和学院か花咲徳栄のような感じです。
監督をはじめチームの「雰囲気」は全然違いますが、投手を中心にきっちり守り勝つチームカラーは浦和学院の方が近いかな。
たとえ2軍とはいえ浦学や徳栄のようなARCに、部員が10人程度しかいなくてしかも新2年生中心の崎玉が0-1というのは、「リアルさ」が売りの「おお振り」のストーリーの中ではちょっと非現実的かな…。
高校野球オタクの私から見ると、「おお振り」は夢物語ではなくなるべくリアルを追求していると感じますが、この「学年の壁」というもののリアルさがちょっと物足りなく感じます。
西浦が桐青に勝利したのも、西浦が3年生中心のメンバーならまだわかるのですが、1年生だけというのがちょっと微妙なんですよね。
たとえARCでも数か月前は中学生だった1年生だけでチームを編成すると、ベストメンバーで戦う桐青に勝つのは難しいというのが現実だと思います。
高校野球の「スカウト」という現実…
33巻で一番興味深かったのは、西浦の部員たちが出身中学やクラブチームの後輩をスカウトに行く場面です。
西浦は部員数が少ない公立校で、とにかく部員の数を増やしたいため、ポジションがかぶる上手な後輩に「来ないでほしい」という後ろ向きな感情はまったく描かれません。
これが野球強豪校が舞台であれば、そういう微妙な感情もあるのでしょうけどね。
田島や泉が教室で「野球少年の数自体が減っている」という話をしていますが、少子化と人気スポーツの多様化…ということなのでしょうね。
で、野球少年が減っているのに加えて、現在の高校野球はスカウト力のある高校が上進出しやすい…という現実があります。
高校野球オタクの私から見て、この傾向は非常に強まっていると感じます。
1990年代頃は、「甲子園で活躍する選手=プロ野球で大成する選手ではない」というイメージが強かったです。
90年代にプロ予備軍のような選手たちを集めるチームカラーだったのはPL学園や横浜でしたが、PLや横浜より(当時は)プロ志望でない選手が多い智弁和歌山の方が強かった時代です。
しかし少子化による選手の奪い合いや、スカウト熱心な大阪桐蔭が鉄壁の強さを作り上げたことなどで、現在の高校野球ではスカウト合戦が激化しています。
各強豪校に新しく入学する中学生の一覧が出そろう頃には、3年後の優勝校が予想できてしまう…なんてこともあります。
もちろんすべての有望選手が順調に育つわけではないのですが、昔にくらべるとやはり予定調和的な傾向が強まっていますね。
それの何が悪いか…というと、まあ単に予定調和的な世界観をあまり好まないという私の好みの問題なのですが、それだけでなく高校野球のスカウト熱は、各高校野球チームの個性を失わせている気もします。
たとえば90年代の明徳義塾には松井への5敬遠で「勝利への執念」に惹かれて入部した選手が何人かいるのですが、そういった形で自発的に入部する選手が多い方が、チームの個性は強くなるのではないかと。
大阪桐蔭は既にあれがチームカラーなのでいいんですが、いくつかの強豪校は「ミニ大阪桐蔭」になってしまっているような…。
「おお振り」の話とめっちゃずれてしまいましたね!西浦の場合は、部員不足による「来るもの拒まず去るものは逃がさない」の切実なスカウトです。
部内恋愛の話…やっぱり阿部が好きだなあ!
おお振り33巻で、もう一つ大きなテーマとして語られるのは「部内恋愛」です。
栄口は「いーの?みんな恋しないの?」と言ってますが、恋愛禁止ではなく部内恋愛禁止ってことですよね。
しかしこれ…うまくいくのかしら…?
恋愛って人間の自然な感情ですし、高校生は多感ですし、逆に禁止されると意識してしまうってのもあるしねえ…。
こういう問題を部にもちこまないために、女子マネを取らないというチームもあるのかもしれませんね。
今のところおお振りで描かれている恋心(に近い感情)は…
…ですが、付き合っちゃダメかなあ?水谷と篠岡さんが付き合っても、チームには何も問題がないように思えるけど。
むしろ高校生ってライトだし、他に篠岡さんを好きな選手がいても、篠岡さんが水谷と付き合っちゃったら諦めて違う恋をするんじゃないかな?
…って、私が阿部みたいにライトすぎるのかな…。
まあ、でもさすがに私も阿部ほどではないですね。
阿部は部内恋愛禁止の話が出ても、「ふうん」「いんじゃね?」「(ただただ監督は女性だという事実からアッサリと)あとカントクだろ?」…。
この「オレの配球に何も関係ねえ」という態度というかオタクぶり…良いですねえ。
私は篠岡さんの気持ちわかりますよ!私が高校生でも阿部が好きかも。
「私に何の興味も持っていない男性」って、なぜだか魅力的に思えてしまうんですよね。不思議です。
埼玉の秋季大会はどうなった?
おお振り33巻のザッとした感想でした。
私はおお振りでは試合を描くシーンが好きなので、ちょっと流し読みしてしまった巻でもありました。
西浦が既に敗退した秋季大会では、千朶や桐青や春日部はどうなったのか気になる…春のセンバツに行けるチームはあるのでしょうか?
次の巻ではそのあたりが判明すると嬉しいです!