2年ぶりに開催された2021年センバツ高校野球。
無事に大会日程が終わり、高校野球ファンとしてホッとしています!
コロナ禍の中で行われた特別な大会で、今回から導入された新しいルールもあり、今までと違うこともたくさんありました。
ですが好試合が多く、これまでと変わらない「高校野球の面白さ」を、じゅうぶんに楽しめた大会だったと思います。
イチ高校野球ファンの私見ですが、大会全体を振り返ってみます!
あっぱれ明豊!でも優勝はまだ早かった!?
決勝戦のカードは東海大相模VS明豊。
私はどちらも好きなチームで、
決勝はどっちを応援しよう…
と迷いましたが、智弁和歌山の前監督高嶋さんが、「(教え子の)川崎監督の優勝はまだ早い」と試合前におっしゃっている記事を見たので、ほんの気持ちだけ東海大相模を応援しました。
甲子園初優勝までずいぶん苦労された高嶋さんらしいコメント!
しかし「まだ早い」と思わせるほど、川崎監督率いる明豊の躍進はスゴイですよね!
明豊は今回は近畿3強が含まれる最激戦ブロックに入ったので、「さすがに上位進出はキビシイかな?」と思っていたのですが、本当、私の見る目がなくて明豊の皆さん、ゴメンナサイ!
明豊は、前評判が高い相手にもまったくひるまない「戦う姿勢」が素晴らしいですよね。
ここ最近の甲子園は、「前評判が高いチームが勝ち進む」傾向どころか、「3年前にスカウトに成功したと言われるチームがそのまま勝つ」傾向があり、明豊のようなチームは高校野球界の停滞ぎみの空気に、新しい風を吹き込んでくれるように感じます。
準々決勝で試合入れ替えの際に、福岡大大濠の監督さんが明豊ベンチに何か一声かけていた姿も印象的でした。
明豊だけでなく、今回旋風なるか?と期待された大崎など、九州勢の巻き返しにも今後期待したいです。
優勝した東海大相模の精神力は見事!
そんな明豊の勢いに屈しなかったのが、大黒柱・石田を擁する東海大相模。
なぜ東海大相模が明豊の勢いに飲まれなかったか…というと、相模も明豊の精神力に負けていなかったからでしょうね。
明豊の「戦う姿勢」と同じように、東海大相模のエース石田は、ピッチングそのものだけでなく、ハートで相手を圧倒するマウンドさばきが素晴らしかったです。
まさに、これぞエース。投手に最も必要なものは球速ではなく、マウンド度胸。
また東海大相模は大会前は「打撃が弱い」と言われ、実際プロ注打者が並ぶような大型打線ではありませんでした。
ですが、一人の大投手を中心にしっかり守り、打線は小技も絡めながら相手投手との粘り合いを制す…こういったタイプのチームって、一昔前は春のセンバツには強かったんですよね。
優勝した東海大相模も、準優勝の明豊も、昨年のチームの方が前評判が高かったです。
優勝候補ではないチームが自らの良さを存分に発揮して勝ち上がる姿を見せてくれて、今年のセンバツは非常に面白かったです。
ちなみに大塚主将のアクシデントをしっかりカバーした深谷選手は、相模優勝の影のMVPだと思います。
高校野球の面白さを思い知った仙台育英VS天理
私は今回のセンバツの試合は7~8割くらいフルで見ましたが、最も面白かったのは準々決勝の仙台育英VS天理です。
試合スコアは10-3の大差で、もちろん大会のベストバウトとは思いません。試合自体は同じ準々決勝の明豊VS智弁学園の方がスリリングでしたね。
仙台育英VS天理の何が面白かったって、
野球はやはり「流れ」のスポーツだ…!
…と実感したんですよね。
複数の好投手と強力打線を持つ仙台育英は、ベスト8が出そろった時に、「総合力で最も優勝に近いのでは?」と言われていました。
しかし準々決勝の天理戦で、不調の達投手相手に毎回のように走者をためながら、あと一本が出ない展開が続きました。
逆に天理はランナーが珍しく出るとちょうど良いバッターに回り、タイムリーが出てしまうという…。
仙台育英の投手が立ち直ったかと思うと、ちょっとしたことで試合の間が空いてしまったり、何もかもが仙台育英にとって悪い方に出る不思議な試合でした。
10-3というのは地方大会ではコールドの点差ですが、天理と仙台育英に決してそれほどの力の差はありませんでした。
長い高校野球の歴史で東北勢はなかなか優勝できずにいますが、中にはこんな試合に阻まれることもあるんだなあ…としみじみと感じました。
球数制限は再考の余地あり。世論より選手ファーストで…
今回のセンバツで一番話題になったのは、球数制限ですね。
特に中京大中京の畔柳投手は、試合日程の関係で、球数制限で最も話題になりました。
この球数制限は、試合日程によって不公平感があるほか、絶対的エースを持つチームの選手起用に、結構早い段階から影響を及ぼしていましたね(市和歌山とか)。
今後改善していくのでしょうが、高野連にお願いしたいのは、世論ではなく現場の意見に寄り添うことですね。
私のような年季の入った高校野球ファンから見ると、世論の高校野球に対する意見は、どこか極端に感じます。
もちろん「投げすぎて故障」はよくないことですが、投手にとって一律に「何球以上で投げすぎ」ということはないわけで。
むしろ脳裏にちらつく球数制限が投手の投球リズムやバランスを崩し、投手の身体にもいい影響を与えていないのではないか…そんな気がしました。
現場の監督やコーチも昔のような考え方の人は減ってきましたし、もう少し現場にまかせる方法はないのかな?と思いますね。
今後の課題ですね。現場の声をたくさん集めてほしいと思います。
関東・東京勢を振り返る
最後に、秋季大会からよく見ていた関東・東京勢の試合を振り返ります。
と言っても、まず健大高崎はほとんど見れなかった…。天理戦の序盤を見れただけです。
健大高崎戦の達投手は調子がよかったようで、やはり春は打撃自慢のチームが勝ち抜くのは難しいのかもしれませんね。
ただ「打線は水物」かもしれないけど、「投手力も水物」なのかもなあ…と感じたのが常総学院。
中京大中京戦は大差がつきましたが、さすがにあの点差ほどは力の差はなかったんじゃないかなあ。
健大高崎も常総も、新しいチームカラー作りの途上にある感じなので、この春の1勝1敗が糧になるといいなあと思います。
初戦敗退ながら健闘したのは、前評判が低かった関東ベスト4の東海大甲府と専大松戸。
若山投手と深沢投手、ほれぼれするようなハートのこもったピッチングでした。
二人ともまた夏に見たい投手ですが、夏に向けては打線の奮起がカギですね。
最後に東京の東海大菅生。
攻守ともに課題だらけの3試合でしたが、絶対的エースのアクシデントはチーム全体に動揺を与えたのだと思います。そんな中、粘って2勝はできました。
その中で、秋にケガで出番がなかった榮主将が奮闘していたのが嬉しかったです!
また、松永投手の強気のピッチングは素晴らしかったですね。菅生ベスト8の最大の立役者です。
東海大菅生は現段階ではベスト8が妥当かなという感じがしました。ベスト4進出の4校はすべて、菅生より守備力が上に見えました。
菅生は若いチームなので、夏に向けてさらなる成長を期待しています。夏に振り返った時に「春のセンバツで課題が見つかったことが良かった」と言えるとよいですね!
まとめ
2021年センバツ高校野球の感想でした。
今年はとにかく開催されたことに感謝です。
選手たちも感染症対策の中、不自由な面もあったと思いますが、好試合が多く、高校野球ファンにとって楽しい大会となりました。
どうかこのまま感染症も落ち着いていって、夏も無事に球児の祭典が開催されることを願っています!