2022年夏の甲子園、まっただ中!
大会第8日に小ネタで盛り上げてくれたのが、佐賀代表・有田工のスイッチヒッター。
ひとつの打席の中で、1球ごとにバッターボックスを右→左→右と入れ替わることで話題になりました。
面白いなあ…!まさに「スイッチ」ヒッター!
…と私は思ったのですが、審判に止められて、すべての打席ではできなかったそうですね。
この件について、高校野球ファンとしての私の考えをまとめておこうと思います。
審判が禁止した理由は?
まず確認したいことは、1球ごとに入る左右の打席を変える行為は、投手がサイン交換・投球動作に入っていない時の動きであれば、公認野球規則で禁止されていません。
ルールの範囲内です。
では、なぜ1球ごとの打席の「スイッチ」が、県大会では認められたのに、甲子園大会では禁止されたのか。
この記事から引用すると…
打席を入れ替えることで投手を惑わし、四球だけを狙う意図がうかがえたら、フェアプレーの精神に反するので球審が注意することがある
…とのこと。
えっ!?意味不明!
「四球だけを狙う意図がNG」って、それなら投手が制球を乱しているときの「待て」のサインもNGになりませんか?
1球ごとの打席チェンジは、今まで普通に野球で行われてきた、正面突破ではない作戦とほとんど同じレベルに思えるのですが、「斬新」という理由だけで却下されているような気が…。
ただ、この禁止の理由は「タテマエ」だと感じます。だってこれが理由なら、県大会でも同じようにストップをかけるはずですからね。
じゃあ大会本部の本音はというと…「打席で時間をかけてほしくない」…コレなんじゃないでしょうかね。
高校野球の試合は、審判がほとんど無償というのもあるのでしょうが(早く帰りたいという気持ちは人間としてわかる)、とにかく急かされます。
批判している人はどんな理由で?
私が驚いたのは、この打席チェンジに対し、ネットのコメント欄などで批判する人たちが少なからずいたことです。
私の価値観からすると、これを批判する気持ちが全然わからないので、人の考えは本当にそれぞれだなあ…と思いました。
批判している人の理由はこんな感じでした。
- 野球の本質「打つ」ということから外れている
- 時間稼ぎ・遅延行為だ
- こんなバッティングでは将来性はない
- 今まで誰もやってない
- 見ていてうっとうしい
うーん。野球って「打つ」スポーツではなく「点を取る」スポーツですよね。安打数で勝敗は決まらないです。
「時間稼ぎ・遅延行為」というのは、時間制スポーツでない野球では批判の対象にはならないですね。
また実際に動画を見ればわかりますが、打席の移動は小走りで素早く行っています。時間の浪費はほとんどありません。
ていうかこれが「遅延行為」とされるなら、投球の間を長く取る投手だってダメってことになりますね。
それ以外はほとんど感情論ですが、SNS時代にはこの感情論の方が実は大きい意味を持つかと思います。
感情は理屈が通じない分むずかしいので、こういったマイナスの感情を向けられるリスクが、一番のデメリットかなと思いました。
今回は西日本の公立校の選手でしたが、もし東日本の野球留学がさかんな私学の選手だったら、もっと感情的に叩かれていたかも…という気がします。
コレがダメなら他にもたくさんNG案件があるのでは…?
さて、一球ごとの打席移動がフェアプレーではないというなら、現在の野球で行われていることで、同じレベルのNG案件がわんさか出てくる気がします。
フェアプレーか否かの線引きは個人差があります。
そのためにルールがあるわけで、やってはいけないことはルール化すべきであり、ルールの範囲内のプレーは認められるべきでしょう。
高校野球の多様性をつぶさないでほしい!
今回のスイッチヒッターの打席チェンジは、個人的にはとても面白く感じました。
高校野球は全員が一流選手であるプロ野球と違い、将来のプロ野球選手の卵から、普通の高校生に近い選手までが、同じ土俵で戦うという面白さがあります。
体格や運動能力では敵わない選手が、知恵・アイディアを振り絞る姿は、高校野球の魅力のひとつ。
最近の高校野球はスカウト合戦が少子化の影響もあって激しく、能力の高い選手を集めたチームが勝ち進むことが多いです。
その結果、上位進出するのは投打のバランスがよい身体能力の高いチームばかりで、どこも似ているなあ…と感じることがよくあります。
高校野球の多様性という魅力が薄れつつある中、個性的なチャレンジをする選手やチームを、高校野球ファンとして大事にしたい…これが今回の件に関する私の結論です。