ドリフターズの7巻が発売されました。結構久しぶりですね!
感想やら考察やらまとめてみました。
義経は漂流者(ドリフ)だった?
ドリフターズ7巻の表紙は義経ですが…黒王軍から寝返りましたね。
「寝返り方がアッサリすぎる…」という気もしないでもないですが、与一とのやり取りを見ると、実は義経は廃棄物(エンズ)ではなく、漂流者(ドリフ)であることが示唆されています。
あなたが奥州藤原なんかで死ぬわけないでしょ
…これは与一のセリフですが、廃棄物は現実世界で死んだ人物(多くの場合は非業の死)の魂を、EASYが超現実世界に引き込んで、超常的な力を与えている…という設定です。
日本史では源義経は鎌倉幕府に追われ、奥州で非業の死を遂げた…というのが定説ですが、義経は実は死んでいない、逃げ延びたという俗説は数多くあります。
「ドリフターズ」で義経は奥州で死んでいないという俗説が採用され、紫によって漂流物と廃棄物が戦う世界に投げ込まれた…ということなのでしょうね。
本来なら漂流物は黒王軍と戦いますが、義経は「黒王軍の方が面白そうだから」という理由で、黒王軍側で戦っていたのでしょう。
「その方が面白いから」そんな理由で裏切りを打つ奴いるかね
います 一人だけ知っています
与一が知っている「一人」が義経だということなのでしょうね。
…ということは、義経は超常的な力は持っていない。あくまで人間の能力の範囲内で戦うということですか。
もともと漂流物なのであれば、人間を憎みすぎている廃棄物とはどこかウマが合わず、漂流物の側に戻ってくるという流れは自然なのかも。
人間はバカやアホが好き!
ドリフターズ7巻のキーワードのひとつが「バカ」とか「アホ」ですね。
廃棄物の土方歳三はこうつぶやきます。
新選組がいつしくじったか そんなの決まってらぁよ 勇さんよぅ
妙な知恵つけて バカをやめた時さ
また、ハンニバルは、民たちをついてこさせる時の猿芝居について、義経にこう説明します。
人はアホが大好きだ なぜなら人間は一人残らず
大なり小なり アホだからだ
ふむ…。
こういった文脈で語られる「アホ」「バカ」は、どういう意味で使われているのだろう…と興味深いです。
漂流物にもスキピオやハンニバル、信長のような知的存在がいますので、完全に知性の反対語ではないのだろうと思います。
よく作中で「バカ」と言われる主人公の豊久のことを考えると…「見ていて思わず笑ってしまいたくなるような、理屈を超えたり、常識を逸したりする言動」という定義が近いのかな…と思います。
理屈だけのトップには人はついていかない。
理屈+何か人を引き付けるエネルギーのようなものがなければならない。そのエネルギーを端的に表す言葉が「アホ」「バカ」なのかな。
そう考えると、漂流物の人物たちは、理性とバカがバランスよくそろっている気がしますね。
現代人にも「アホ」「バカ」が必要かも…
ふと思ったのが、現代は「アホ」とか「バカ」の居場所がなくなりつつあるよな…ということです。
「アホ」や「バカ」は理屈から考えればオカシイこともありますし、おそらくコスパもタイパも悪いことが多いでしょう。
現代のSNSでは、少しでもオカシイこと、コスパ・タイパが悪いことは過剰に叩かれる傾向があります。
個人的には「アホ」や「バカ」をしたくない人は、自分がしなければいいだけで、他者がやっている分は放っておけばよいのにと思いますけどね。
たとえば私は高校野球ファンなのですが、真夏の甲子園や全員坊主などは「アホ」「バカ」の類だと思います。ネットではこういったことがかなり叩かれますが、当事者が好きでやっているのであれば、外野が口を挟むことではないかと。
「アホ」「バカ」をなぜ叩かずには気が済まないのか…という疑問がありましたが、もしかしたら現代人も「アホ」「バカ」は好きなのかもしれないですね。ドリフターズに描かれるように、「アホ」「バカ」は一定の人気を集めますからね。
でも、自分は「アホ」にも「バカ」にもなる勇気がない。
だから人気のある「アホ」「バカ」に嫉妬しているのではないか…。
…まあ、私の推測が当たっているかは微妙ではありますが、こういった「アホ」「バカ」を遂行しづらい空気の社会は息苦しいし、どこか人間社会をゆがめていくようにも思いますね。
ドリフターズに描かれる歴史の偉人たちがそうであるように、「アホ」「バカ」…言い換えると「愚行権を行使する人々」が、きっと歴史を変えていくのです。
愚行権を行使しづらい社会は、いずれ歴史の硬直を招くだろう…うーん、ドリフターズに描かれていることは深いなあ…。
まとめ
というわけで、ドリフターズ7巻のとりとめもない感想でした!
進捗の遅い物語ですが、その分おもしろいので、全然気長に待てますね!私はハンターで鍛えられているし!
次巻はいつになるかわかりませんが、私の好きなキャラ、ブッチやサンジェルミの活躍が増えると嬉しいです。
ドリフターズはこの7巻から電子書籍の購入に切り替えました。次巻がずっと先になりそうなので、紙の本だと失くしてしまいそうなんだよなあ…。